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可愛い店内

あちらこちらに小さくて可愛い観葉植物が置かれているし、カーテンや飾られた小物類、店を照らす灯りまでこだわって選ばれているのが分かる。


テーブルクロスは柔らかな生なりの風合いだけれど糊が利いて清潔そうだし、ひとつひとつのテーブルの中央には水を張った小皿に花びらが数枚浮かんでいた。



「素敵……」



贅を尽くさずとも歓迎の意を感じる、その心遣い。この店が若い女性に人気なのはきっとケーキが美味しいだけではなく、こうした店の雰囲気もあっての事だろう。


テールズのざっくばらんな感じも大好きだけど、こういうちょっとお洒落で気が利いたお店もとても好ましい。


あの店主さんのセンスなんだろうか。なんとなく店主さんの快活な印象よりはちょっと繊細な感じがするけれど、キラキラと可愛らしい沢山のケーキ達を産み出していると思えばそれもおかしくはないのかしら。



「いらっしゃいませ」



さりげなく店内を見ていたら、ふんわりした印象の優しげな女性が席に案内してくれた。



「まあ、愛らしいお仕着せですのね」


「でしょ!? でしょ!? 可愛いでしょう!?」



思わず声を上げれば、カーラさんから全力で同意されてしまった。


確かに本当に愛らしい。


爽やかな若草色を基調にしたタイトなドレスにまっ白なエプロン。シンプルなデザインは長いブラウンアッシュの髪を三つ編みにして前に垂らしている彼女のフェミニンなイメージにとても良く合っていた。


なんとこのお仕着せも店長の見立てだという。サバサバした感じの方だったけれど、本当に感性は意外にも細やかだ。



「ブルーフォルカおひとつ、コーストリッチェティーと取り分け用のお皿を人数分お持ちしました」



目の前で丁寧にコーストリッチェティーを淹れてくれる姿は私にとっては見慣れたものだけれど、カーラさんやエマさんにとってはそれだけで優雅な気分に浸れるんだと絶賛している。


この方、本当に所作が美しい。


どこかでメイドをしていた事があるのかも、と思うほどには。



彼女が一礼して去ると、さっそく直径12cmくらいの小ぶりなブルーフォルカをエマさんが取り分けてくれる。目の前に置かれると、期待で胸がドキドキしてきた。


私に取り分けられた部分は、一番青みが強い、よく熟していそうな粒が多い。ラピスラズリのような濃い青がキラキラしてとても綺麗。


ブルーフォルカに見惚れていたら、カーラさん達がニコニコしながらこちらを見ていた。



「えへへ、嬉しそうでなにより。改めて、おめでとう!」


「クリスティアーヌ様、良かったですねえ」



二人の祝福にジーンと胸が熱くなる。頬っぺたが熱く感じたから、少し赤くなってしまったかも知れない。



「ありがとうございます。私……私、本当に嬉しくて」


「うんうん、そんなに喜んでくれて良かったよー! 財布を痛めた甲斐があった!」



カーラさんの素直な発言に思わず笑ってしまう。ひとしきり三人で笑って、カーラさんの「そんじゃあ、いただきます!」に唱和して一斉にケーキを口に入れた。

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