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切に願う

「これまで男性貴族がほぼ席巻していた文官の席を、段階的に実力主義での採用にシフトしていくそうですわ。身分や性別の壁が低くなれば、優秀な人材も増えるでしょうし、これまで安穏としていた御子息達も気合いが入る事でしょう」


男性方が途端に落ち着かない様子で顔を見合わせ始めた。「なぜ」「急にそんな」と不安げな声も漏れ聞こえてくる。


中でもクレマン様は眉間の皺が深くなり、歯ぎしりでもしそうな勢いだ。


「それは……君の父上がずっと議題にあげて来た事だろう」


「ええ、お父様と言うよりは、代々主張してきた事ですが。もちろん私も大賛成ですわ。良かったですわね、クリスティアーヌ様。女性の登用も間口が広がりましてよ」


「!!はい!頑張りますわ!」


男性に比べて、女性が登用されるのは3倍の努力が必要だとお父様から聞いていただけに、この知らせは私にとっては朗報だ。素直に嬉しい。


ただ、男性方にとってはこれまでの優位性を阻害されるだけに、釈然としないものがあるようだ。


「庶民枠を設けるわけではなく、実力で選出するだけです。別に問題もないでしょう?私達貴族は幼少より厳しい教育を受けているのですもの、元々有利なのです。実力で枠を勝ち取ればいいだけですわ」


男性方の反応を見て、グレースリア様は溜息をつきながらそう言った。


「言っておきますが此度の件で貴方方には既に資質に大きなバツがついているのです。その評価を覆さないと未来などありませんわ。ゆっくりしている暇はないんではなくて?」


男性方は悔しそうだけど、別にやることが変わるわけじゃない。私も思わず口を開いた。


「皆様、丁度いいのかも知れませんわ。先程せっかく死に物狂いで修業する、と仰っていただいたんですもの。そのお言葉を皆様実践して頂ければ自ずと結果はついてきますわ」


「……そう、ですね」


「私もどうしても文官になりたいんですの、皆様に負けるつもりはありません。皆様は半年ブランクのある私によもや追い抜かれるような事はなさらないで下さいましね?」


「分かりました。死に物狂いで努力して、それでもブランクのある貴女や況して庶民に抜かれるようでは真に素質がないですからね」


それはそうだろう。


「地に落ちている評価を取り戻し、揃って『殿下の側近に相応しい』という評価を得てみせます」


そう約束して、クレマン様達は去って行った。男性方も既に吹っ切れたいい顔の方もいれば、急な制度の変更にまだ心が揺れている方もいるようだ。


「揃って」というからにはきっと殿下とクレマン様で男性方の意思統一をしながら、将来に備えていくのだろう。


「やれやれ、ですわ。これで一人でも多く『使える人材』に生まれ変わってくれるかしらね」


グレースリア様がふう、と息を吐いた。

切にそう願う。

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