表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

232/282

大丈夫です、若いんで。

「逆に、困ったこともあるのです」



コーティ様の言葉に、私は驚いて顔を上げた。


コーティ様から、困ったこと、だなんて言葉は滅多に聞かないだけに、つい緊張してしまう。見れば、ルーフェスも真剣な顔をしていた。



「どの店の店主も、交易を自身で行ったことはないと言っていました。とり仕切るものがいないというのは逆に厄介なのですよ」


「確かに。コーティさんがそんな風に言うってことは、その各々の店主は、交易をしている人物にすら思い当たってないんじゃないですか?」



お父様の傍で政務を勉強しているルーフェスは、やっぱり飲み込みが早い。即座にコーティ様の言わんとするところが理解できたようで、とても羨ましい。



「ええ、午後から再度丁寧に状況を聞き取るつもりですが、今のところはそうです」


「農民や鉱山から直接買い付けしてるとか……」


「その可能性もあります。そもそも各店では品数も薄く、量もふんだんにはありません」


「人口が少ないからでしょうか」



ようやく、ひとこと口を挟めた。二人の会話は流れが早くて、ついていくのも大変だ。



「そうです、そもそも取り扱う量が少なくては、交易に回すぶんを確保するのが難しい。レオナルドくんも、どうやら交渉相手を探して苦労しているようですね。市場では見かけませんでした」



レオさんの話題が急に復活してきて、一瞬どんな顔をして良いのか分からなくなる。レオさんも苦労しているのなら、少しでも役にたてるといいのだけれど。



「ふーん、それで? これから僕らはどう動けばいいんです?」



ルーフェスの言葉に、コーティ様はからかうように微笑んだ。



「おや、もう調査に参加するつもりですか? 無理をしなくても良いのですよ」


「大丈夫です、若いんで。見ての通りかなり回復してますし……みっともない姿ばっかり見られるのはこっちも不本意だ」



ルーフェスの琥珀色の瞳が挑戦的に光る。体調が良くなってきたら、今までの自分の姿が許せなくなってきたんだろう。


これは仕方がない、なんせルーフェスは、とても負けず嫌いですものね。



「どうです、クリスティアーヌ嬢。弟君はもう調査に参加できる程度に回復しているのですか?」



キッとルーフェスが私を見る。大丈夫、そんなに必死に目で訴えなくても、不利になるようなことは言わないから。



「ええ、問題ないと思いますわ。足取りもしっかりしていますし」



そう請け負うと、コーティ様も満足そうに首肯する。


きっと、私の答えなど最初から分かっていたに違いない。



「それでは早速、午後からの調査について、話し合いましょう」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ