表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/282

グレシオン様の謝罪

「こ…こらお前、何をさも当然のように頭数に入ってるんだ、お前は部外者であろう」


我に返ったゴツいフードのフェデルさんが慌てて止めるも、マークさんは動じない。


「ああ、俺、関係者。クリスの親御さんから正式に依頼を受けた護衛だよ。悪りぃが俺にも彼女の身を守る義務があるんでね」


グレシオン様の確かめるような視線に、私も慌てて首肯した。マークさんが護衛なのは確かな話だし、立ち会って貰った方が安心感がある。


「おいでクリス。きっちり詫び入れて貰おうじゃないか」


女将さんに促され、私も後に続いた。常連のおじさま達にエールを貰いながら部屋に入ってソファに落ち着くと、待ちきれないようにグレシオン様が立ち上がる。


「クリスティアーヌ…まずは、謝らせて欲しい。今回の事、本当に…本当に、申し訳なかった」


「グレシオン様…」


「碌に調べもせずに君に罪があると思い込み、婚約破棄と謹慎を言い渡した事…今さら取り返しがつくものではないが…」


「昨日、陛下とお話しになられたのですね?」


「ああ、途中からは読むのも苦痛なくらい、詳細に調べられた報告書付きでね。自分の愚かしさに、身が凍る思いがしたよ」


…第三者の冷静な視点で書かれた報告書か。それは辛い。夕べは眠れていないんだろう、フードをとったグレシオン様の顔は、明らかに窶れていた。


「私も、浅薄でした。あの時の私はどうせ何を言っても無駄だと諦めて、碌な主張もしなかった。邸で父に叱られましたわ、王族といえど…その言に過ちあれば、命を賭して正す事も臣下の役目だと」


「命を賭して…」


「まぁ王族に反論するのは普通は命がけだよなぁ。女将みたいに噛みつくヤツぁそうはいねぇよ」


思わず、といった風情で呟いたグレシオン様に、マークさんが苦笑しながら言い添えた。


「あたしは別に曲がった事は言っちゃいないよ」


「それでも問答無用で斬られる事もあるってことさ。王族が望まなくても、周囲が権威を守るためにズバっといく事もあるしな」


チラリとゴツいフードのフェデルさんを見たの、絶対わざとですよねマークさん。


「…そうだな。今回ばかりは本当に、王族である私が迂闊な裁定をする恐ろしさが身に沁みた」


そう言ってグレシオン様は私を悲しげに見つめた。


「時が経つにつれ…やり過ぎだったのでは、他にやりようがあったのではとあの日の事を悔いていたんだ。君の名誉を損ない、勉学の機会も奪った」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ