表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】シナリオ通りに退場したのに、いまさらなんの御用ですか?  作者: 真弓りの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

223/282

ね、姉さん……恥ずかしいから……

「セルバさんが、長旅なら回復掛けといた方がいいよね、って」


「まさかあの、循環式の回復魔法? 前に姉さんが倒れた、あの?」



 しまった、ルーフェスには言わないでおこうと思ったのに。慌てて私は言い訳を口にする。



「もう治験も済んで、安全性も確立されたそうよ? おかげでほら、疲労回復も早いの」



じとっとした目でルーフェスが私を見る。ゆっくりため息をつくのが怖い。



「……報告は受けてるから、別にもう怒ってないよ、その件は」


「そうなの!? 良かった」


「むしろ、僕にもかけて欲しかったなって思ってる。こんなに違いが出るなら」



なんという心境の変化! 


ルーフェスったらいつの間にそんなに寛容になったのかしら。嬉しくなって、私はうきうきと魔力を練った。


今では随分とうまくなり、セルバさんにもお墨付きをいただいた回復魔法を、ルーフェスに向かって丁寧にかけていく。


ふんわりと、優しい光がルーフェスを包んでキラキラと光りを放っては消えていく。いつも思うけれど、とても綺麗。



「姉さん、今の」


「セルバさん直伝の回復魔法よ。循環式なんて難しいことは私にはまだまだ無理だけれど、何もしないよりは、疲労もとれるし体力も回復するかと思ったから」


「……あれに懲りずに、魔法の訓練を続けてたわけだね」



ルーフェスが半目で睨んでくる。


だって仕方がないんですもの。レオ様、遠征が多くていつ大ケガして帰ってくるか分からないから、少しでも役に立てることを覚えておきたいんだもの。



「まあでも、体はすごく軽くなった。……ありがと」



少しだけ視線を逸らして、ルーフェスが呟くように言う。確かに、足元はもうふらついていなかった。


……素直なのか素直じゃないのか微妙なラインの態度が、なぜかとても可愛いと感じるのは、姉のひいき目なのかしら。



「君たち姉弟は、仲がいいのですね」


「……!」



コーティ様の言葉に、思わず息をのんだ。なんという、嬉しいお言葉……!!!!



「そ、そう見えますか……!」



つい声が上ずってしまった。コーティ様はそう言いつつもとても意外そうだったけれど、それでもものすごく嬉しい。


私とルーフェスが仲良く見えるだなんて、本当かしら。


私の意固地な思い込みのせいで、二、三年前まで、ルーフェスとは言葉を交わしたことさえ少なかったというのに。



「おや、随分と嬉しそうですね。弟と仲が良いと言われるのは、そんなに嬉しいものですか?」


「はい、とっても! ありがとうございます!」


「ね、姉さん……恥ずかしいから……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ