お父様にそっくり!
「あなたがたの体調によっては、途中の街や村で宿をとることも考えますが、その分クーレイに着くのが遅くなってしまいますので、出来る限り頑張ってくださいね」
そこで言葉を切って、コーティ様は私に微笑んでくれた。
「レオナルドくんの上司に確認したところ、どうやら彼は途中に点在する街や村も回って、王都に仕入れられるものがないかも調査することになっているようで、行きの日程だけでたっぷり二週間とってあるそうですよ。この日程なら、彼とそう変わらないタイミングでクーレイに着きます」
「……!」
調査に来ているのに、私がレオさんと会えるかを気にしていることもお見通し、と言わんばかりのコーティ様のお言葉に、一気に全身が熱くなる。
申し訳ないやら恥ずかしいやらで、返す言葉もなかった。
「真っ赤になって、本当に可愛らしい人ですね」
コーティ様がそうからかってくるけれど、もはや顔を上げることもできない。
「実際、市井官としての調査の一環としても、レオナルドくんと合流できるのが一番望ましい展開ですので、そんなにバツの悪い顔をしなくても大丈夫ですよ」
くすくすと、コーティ様が笑う。逆にルーフェスは怪訝な顔でコーティ様を見上げる。
「どういう意味です?」
「ああ、ルーフェスくんにも調査の概要を説明しておいたほうがいいですね」
ルーフェスの質問に大きく頷き、コーティ様はゆっくりと、今回の事の経緯を話し始めた。
説明を真剣な表情で聞いていたルーフェスは、ひととおり聞き終えると、眉根をきゅっと寄せて考え込む。
その様子が、お父様にそっくりで、内心嬉しくなってしまう。
やっぱり一緒に行動する時間が長いと、癖とかって似るのかもしれない。
私がちょっとしたことに軽い感動をしていた傍らで、ルーフェスは真剣な表情のまましっかりと顔を上げてコーティ様へ質問を投げかけた。
「つまり今、王都ではクーレイからの物流に問題が起き始めているってことですよね? まだ父の元へは、そんな情報は来ていなかった筈ですが」
「そうです。気になって調べてみたところ、鉱石や宝石だけでなく、すでに市場でも影響が出始めていました。この調査の結果如何で、公爵にもご報告する必要が出るかもしれません」
「なるほど」
それだけで矛を収めたところを見るに、順当な流れなのだろう。さっきまで唇を尖らせて拗ねた様子だったルーフェスが、一瞬で仕事の顔になったのが、とても印象的だった。
きっと、お父様のもとでルーフェスは日々、しっかりと鍛えられているんだろう。




