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僕も行く!

「わかった、わかった。行ってよい」


「本当ですか!!!?」


「父上!」



嬉しくて思わず声をあげたけれど、隣でルーフェスが非難めいた声をあげている。



「ミスト室長からも、信頼できる人材をつけるから許してやってくれと、内々に頼まれているのでな、しかたあるまい」



なんと……! ミスト室長ったらいつの間に。


どうして市井官のみなさんは、こう仕事が早いのかしら。ありがたい援軍に、笑みがこぼれる。



「気を付けていくのだぞ。お前を危険に晒したくないのは、私とてルーフェスと同じだ。あまり心配させてくれるなよ」


「お父様……ありがとう、ございます」



嬉しくてちょっぴり涙ぐんでしまったのに、お母様がこっそり「あなた、素敵」とお父様にささやいているのが見えて、涙もひっこんでしまった。


仲が良さそうで何よりです。



「僕も行く!」



和やかな空気の中、いきなりの宣言が響き渡った。



「まぁまぁ、何を言っているの、ルーフェスったら」



お母様の驚いた声に、ルーフェスは動じる様子もない。お父様をまっすぐにみて、こう言った。



「以前そうやって姉さんを旅に出して、案の定賊に襲われたのを、父上も忘れたわけではないでしょう。無事で帰って来たからいいものの……!」



あまりの剣幕に、口をはさむことさえできない。ルーフェスは本気で怒っていた。



「姉さん、僕も行くから。反論はなしだよ」



勢いに押されて、うんうんと頷く。目でお父様に助けを求めたら、再び両手をあげて「仕方あるまい」と呟かれてしまった。



「せっかくだ、視察も兼ねて行ってくるがいい」



お父様の返答に、ルーフェスは力強くガッツポーズした。



「まぁまぁ、ルーフェスったら。本当にお姉さま思いな子ねぇ」



お母様……そんな剣幕じゃ、なかったと思うのですけれど。




****************************************




そんなアレコレがあってしばらく。私とルーフェスはコーティ様と一緒に馬車に揺られていた。



「コーティ様が一緒に行ってくださるんですね。草案などのお仕事はよいのですか?」


「問題ありません。私は貴女の教育係ですから、同行するのは当然です。安心してください、私も昨年までは数々の調査をこなしてきましたので、ノウハウはすべて網羅していますよ」


「そう……ですよね、心強いです。よろしくお願いします」



にこやかに言ってから、挨拶を促すためにちょいちょいとさりげなくルーフェスをつついたけれど、なせかルーフェスは憮然とした表情でコーティ様を睨んでいる。


ちょっとルーフェスったら、自分からついてきたのに、失礼な態度はお願いだからやめてね?

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