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私でお役に立てるなら

「おっと、僕らともあろうものが、今心配しても仕方がない話をしてしまった」


「そうですね、今は民生官との協力体制についてでした」



すみません、となぜか二人に謝られる。私としては現状を知ることが出来て、こういう話もとても勉強になるのだけれど。



「クリスティアーヌ嬢の言う通り、確かにオーズ氏とは話し合いの余地がありそうだ。今後のためにも手始めに、協力し合う方向性について話し合うのもいいかも知れないね」


「そうだねえ、今はクリスティアーヌ嬢という、またとない橋渡し役もいることだしねぇ」



ミスト室長にそう言って貰えて、とても嬉しい。


お世話になってばかりの私でも、役に立てることがあるのなら、そんなに嬉しい事ないもの。



「今度会った時でいいから、オーズ氏に軽く根回ししておいてくれるかね?」


「はい! お任せください!」



ミスト室長の依頼に、力いっぱい答えた私を見て、コーティ様はくすくすと笑いを漏らしている。ちょっと元気よく答えすぎたかもしれない。



「ふふ、期待していますよ。ではその勢いで、今から私のお手伝いをしていただけますか?」



コーティ様が目で指し示す先には、未だ大量の書籍たちが積みあがっている。そういえば、さっき書籍を運ぶのを手伝って欲しいと言ってらしたものね。


私でお役に立てるなら、何でも手伝います!


腕まくりしたいくらいの気持ちで書籍のほうに歩めば、後ろからミスト室長の心配そうな声が聞こえてくる。



「まさかあの膨大な資料を運ぶつもりかね。女性には重すぎではないかね?」


「移動式のワゴンを借りておりますので、問題ありません。力がないなら頭を使えばよいだけです」



モノクルを細い指でわずかに押し上げて、コーティ様がすまして言えば、ミスト室長は面白く無さそうに唇を尖らせた。



「君は可愛くないねえ」


「可愛くなくて結構です」



なぜかミスト室長にはいつも辛口なコーティ様に連れられて、トレイに積まれた書籍たちを書庫へと運んでいく。


ワゴンに乗り切れなかった書籍を腕に、一緒に歩くコーティ様は、さっきとは打って変わって穏やかな雰囲気だ。


なぜミスト室長に辛口なのかと不思議に思って聞いてみたら、コーティ様は眉根を寄せて呟いた。



「そうしないと、こちらが遊ばれてしまうので……」


「遊ばれる?」


「ミスト室長はああいう性格ですからね、新人の頃には随分とからかわれたものです。いうなれば自衛手段なのですよ」



なんという可愛らしい理由!



「笑わないでください。あの調子で根掘り葉掘りプライベートなことまで聞き出されて、しまいには弱みまで握られてしまうんですから、始末に負えないんですよ」



 すごい、さすが曲者。なんて笑っていたら、思いがけない声が聞こえて来た。



「あれ? クリス……ティアーヌ、嬢?」

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