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行こうか

ついて来い、と言いたげに私達に背中を見せると、オーズさんはあっという間に店から出て行ってしまった。


まずい、急がなきゃ! 焦る私の前で、レオさんがくるりと振り返る。



「行こうか」



物凄くさりげなく手を差し伸べられて、思わずその手をとった。



「詳しい話は道中たっぷり聞かせてね」



楽しそうにそう言って走り出すレオさんと共に、私は慌ててオーズさんの後を追った。



「で、オーズさんは今、どこに向かってるんです?」


「あー、もうすぐ着くから黙ってついてこい」



レオさんが気軽に話しかけるけれど、オーズさんは一瞬だけ振り返って胡乱気な目で見遣ると、、面倒そうに生返事を返している。



「冷たいなー」


「気心の知れねえヤツには無駄に情報を与えない主義でな」



そう言ったオーズさんの口元は、なぜか少しだけ上がって見えた。言うほどレオさんを警戒しているようにも、毛嫌いしているようにも見えないのだけれど。


不思議に思いながらもオーズさんの後ろを大人しくついていくと、やがて市場から王城を繋ぐ宝飾街に着いた。



「宝飾街?」


「ああ、基本的にここは東区になるからな、ワシの管轄じゃあねえんだが」



そういえば以前コーティ様が、市場があって商人が多く住んでいるのが東区、冒険者や鍛冶屋、宿泊施設などが多くあるのが西区って教えてくださったっけ。



オーズさんは武器屋の立地から考えても、西区を担当する民生官だものね。確かに市場やこの宝飾街は担当外に違いない。



「今回は鉱山の連中が宝飾を買いたたかれてる、実売との価格差があまりにもでけえ、何とかならねえのかってねじ込んできやがってな。自分で交渉すりゃあいいだろうに」


「商人は交渉が生業ですから、口ではかなわないんでしょう。それは酷かも知れないですけどね」



ぼやくオーズさんに、レオさんが苦笑を返す。



「まあそうなんだが、状況によっちゃあ東の民生官と協力して問題を解決せんとならんと考えるとなあ、厄介っつうか面倒っつうか」



もしかしてオーズさん、東区の民生官の方が苦手なのかしら。協力して、というのがすっごく嫌そうなのだけは感じられた。


それにしても、いきなり別な区との交渉も必要になるかも知れない案件だなんて、少し緊張する。



「で、今日は?」



レオさんの問いに、オーズさんが僅かに目を光らせる。



「調査はどの段階なんです? 鉱山から商人への卸値は分かってるんでしょ? 実売の調査? それとも仲介人の特定? 飾り職人……はもともとオーズさんの管轄か」



ニヤリと笑みを浮かべて、オーズさんは「いや」とかぶりを振った。

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