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レオさんの帰還

「クリスちゃーーーん! 会いたかった!」


「レオさん!」



テールズの扉が開くなり、レオさんが飛び込んできた。



「本当にレオさん……? よ、良かった、無事で」



最後に顔を見てから二カ月以上経ってるかしら。


日に焼けたその顔はとっても元気そうで、とてつもなく嬉しそう。ぱっと見ケガもなさそうで、私は安堵やら嬉しさやらが急激にこみあげてきて、表情に困った。



「無事に決まってるよ、ケガなんかしたらクリスちゃんに心配かけちゃうからね」



軽くウインクして見せるのが、なんともいつものレオさんらしくて、思わず笑ってしまう。


それだけで会えなかった二カ月がなかったことになってしまいそうなくらい、落ち着いてしまうのが不思議。レオさんって本当にすごい。



「おーボウズ、真っ黒だな」


「男前が上がったんじゃねえか?」


「最初っから男前だっつうの」



常連さんたちにからかわれるのを笑って軽くいなしながら、「クリスちゃんおススメのつまみと、キンキンに冷えたエールちょうだい!」と、自然な様子でテーブルに着く姿は、とても王宮に勤める貴族の一員だなんて思えない。


そんな様子も楽しくて、なんだか心が浮き立つよう。



「ふふ、クリス嬉しそうだねぇ。笑顔がいつもの五割増しだよ」


「えっ、そんなに顔に出てます!?」



厨房に入るなり女将さんにからかわれて、穴があったら入りたい。でも、本当に二カ月ぶりくらいのレオさんなんだもの、これは仕方ないわよね。


レオさんが何気なく座ったように見えたのはマークさんの向かいの席で、私がエールとおつまみをもって戻った時には、真面目な顔で何か話している様子だった。



「俺がいなかった間、変わったこととかなかったよな? 悪い虫とかついてないだろうな」


「悪い虫ってわけじゃねえが、お前が放っておいてる間に、思いがけず活動範囲は広げてるな」


「マジで!? どんな感じに?」



盛り上がってるところに茶々を入れるのが申し訳なくて、私はこっそりエールとおつまみをおいて、会話を邪魔しないように静かに踵を返した。


その時だ。



「邪魔するぜ」



ギイ、と軋むような音をたてて扉が開くと、オーズさんの熊のような大きい体がのっそりと店の中に入ってくる。ざわざわと、店の常連さんたちも少しざわついた。


そうよね、ゴツいオジサマ達が多い常連さんたちの中に入っても、目を引く巨体だもの。


そう思っていたら、意外とお店の常連さんたちがオーズさんに気軽に声をかけはじめた。



「お、珍しいなオーズ、この店では見たことねえのにな」


「どうした、なんかあったか?」


「この店なら鶏のサージ煮がうめえぜ」



考えてみればオーズさんは武器屋さんだから冒険者のオジサマ達とも顔見知りだし、商人のかた達とも仲がいいのね。だからこそ、民生官というお仕事もやりやすいのかも知れない。

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