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やりたいことが盛りだくさん

先週エールメ様のおかげで市井官のお仕事を見せて貰えたのは、ものすごく有意義だった。


どんな案件にあたっているか、何を調査してどう予算や改善の草案をつくるのか。そんな実務のイメージが明確に湧いたのがとにかく嬉しい。


アデライドさんから「夢を公言し、それに向かって実際に努力するのが大事」と言われたけれど、本当にその通りだと思う。今回、市井官のお仕事を見せていただいて、それを本当に実感した。


今までは私は、自分でできることをコツコツとやる、そんなことばかり考えていたけれど、、資料館で市井官や民生官のことを調べたり、お父様からお仕事の概要を聞くよりも、たった一日お仕事を傍で見せていただいたほうが、何倍もはっきりと仕事内容が理解できることが分かったんだもの。


その意味でエールメ様やコーティ様、ミスト室長へは感謝しかない。


お仕事のイメージが明確になれば、それに向かって自分の足りない部分を強化していける。


それを理解した私は、さらに市井官につながる仕事を学ぶ機会を得るために、ひとつの目的を持ってテールズに来ていた。


今日の私はやりたいことが盛りだくさんだ。お仕事の休憩時間を使って、さっそく女将さんにさぐりを入れてみる。



「民生官? 悪いけどあたしはそういうの、全然分かんないんだよ。聞いた事も無くってさ」



女将さんがとっても申し訳なさそうに言うから、私は慌てて両手を振った。



「女将さん、前にもそう言ってたから、多分知り合いにはいないだろうとは思っていたんです」


「悪いねぇ」


「女将さん、店のおっさん達なら、知り合いがいるんじゃねえか?」


「マークさん」



いつの間にかマークさんが傍に来ていたらしい。あまりにもすんなりと話に入って来て、ちょっと驚いてしまった。



「それか、町長あたりなら確実に知ってると思うがな」


「なるほど、そりゃそうだ。あんた案外頭いいんだね!」



あっはっは、と豪快に笑って、女将さんが声を張り上げる。



「ちょっとみんな、クリスが聞きたいことがあるってさ! 聞いてやってくんな!」



いっせいにお客さんたちの視線が私に向く。見慣れた常連の皆さんばかりだとわかっていても、こんな時は緊張する。



「クリスちゃーん、どうした!」


「なんでも言ってみな!」


「力になるぞー!」



オジサマたちが口々に励ましてくれる。その優しさが嬉しくて、自然笑顔になった。



「私、目指しているお仕事があって。勉強のために『民生官』をなさっているかたとお会いしたいんです。どなたか、民生官のかたを知らないですか?」



一瞬、場が静まった。次いでざわざわと「知ってるか?」「ミンセイカンてなんだ?」「知らねーな―」なんて言葉が飛び交い始める。



「悪りぃなぁ、聞いた事もねぇわ」



オジサマ達が太い眉を下げてお手上げポーズをする。やっぱり無理か……なんて思っていたら、どこからか、「イヤ、待てよ」という声が聞こえてきた。

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