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胸を張ればいいのよ、自分で勝ち取ったチャンスですもの

エールメ様の素敵な提案を受けて、お父様の了解も無事に取り付けた私は、翌週から早速、週に一度だけ生徒会を休んでお城で市井官の仕事を見せていただける事になった。


結果的に生徒会の皆様にはご迷惑をかけてしまうことになるわけだから、きちんと事情を説明しようと思ったのだけれど。



「まあ、それで市井官の仕事を見学できることになったんですの? すごいですわねぇ」


「羨ましい……」



マルティナ様は目をまんまるにして、そしてアデライド様は眉をギュッと寄せたしかめっ面で私の報告を聞いてくださった。



「エールメ様かぁ、嫋やかで美しい方だよね。そっか、婚約者だったガルアが駆け落ちしたんだもんね、今彼女には婚約者いないのか」



なんて、フェイン様は全然関係ないポイントに食いついている。



「フェイン様、副会長なんですから、もう少し真剣に報告を聞いてくださいませ」



グレースリア様にジロリと睨まれて、フェイン様は肩をすくめている。ただその割には気にした様子もなくって、こうして飄々とグレースリア様の攻撃をかわすあたり、なんとなくセルバさんと同じ匂いを感じる。


やっぱり魔術師系の人って、こんな感じの方が多いのかしら。


「とにかく、そんなわけで明日さっそくクリスティアーヌ様は王城へ出向かれるのですわ。生徒会の仕事もできる限り支障はきたさないようにする、とおっしゃってはいますが、皆で協力して運営していきましょう」



グレースリア様が締めて、その場は何事もなく解散となる。とりあえずは了承が得られたのよね。


安心して帰ろうとしていたら、後ろからアデライド様に声を掛けられた。



「良かったわね、公爵から止められたのに他からそんな話が回ってくるなんて、本当に羨ましいわ」


「私も思いがけないことで……でも、この機会を無駄にしないようにしようと思っています」


「あたり前でしょう」



いつものようにメガネをクイっと上げて、アデライド様がまっすぐに私を見る。



「自分で勝ち取ったチャンスですもの、存分に利用なさいな」


「いえ、これはエールメ様のご厚意で……自分で勝ち取ったわけでは」



そう訂正した私に、アデライド様は「何を言ってるの」と即座に反論する。



「あなたが夢を公言し、それに向かって実際に努力しているから、周りがチャンスをくれるんでしょう? 私やマルティナだって、そうして殿下に生徒会に引き入れていただいたんですもの」



ハッとした。



「夢を公言するのだって勇気が要るわ。本気だって思わなければ周囲だって支援しないわ」



確かにその通りだ。



「胸を張ればいいのよ、自分で勝ち取ったチャンスだって。そしてその分、どん欲に知識に変えればいいんだわ。私は、そう思っていつだって全力で努力してるわ」



ツンとしたままそう宣言したアデライド様は、なんだかすごくかっこよかった。

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