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お久しぶりの『殿方たちを陰に日向にサポートする会』

「来週の中頃、放課後の予定を明けておいて。その日は生徒会の役目も免除するから」


「はい」



放課後は基本的に、生徒会の仕事でいつもいっぱいだもの。生徒会の役目が免除されるなら特に予定なんかない。もちろん素直に頷いた。



「今月は『殿方たちを陰に日向にサポートする会』の開催月でしょう。いつもご出席いただいているから大丈夫だとは思ったのだけれど、今回はクリスティアーヌ様に用がある方がいらっしゃるのよ。ですから、必ず参加してくださる?」


「私に用が? どなたですか?」


「それは当日のお楽しみ。クリスティアーヌ様にとってもいい話だから、楽しみにしておいて」



バチンとひとつウインクして、話は終わりという風情で、グレースリア様はもう次の案件にとりかかっている。


気になるけれど、これ以上話してくれる気はなさそう。こうなったらてこでも話してくださらないのがグレースリア様だ、おとなしく来週を待つしかない。


どなたが、なんの御用なのかしら。会の出席者のお顔があれこれと浮かぶ。どのお方も一筋縄ではいかないお方だ。楽しみなような、不安なような。



**********************************



そして翌週、私はグレースリア様のお屋敷に招かれていた。


今では三カ月に一度定期開催されている、『殿方たちを陰に日向にサポートする会』。持ち回りで色んな方のお屋敷にお邪魔しているのだけれど、今日は久しぶりにグレースリア様のお屋敷での開催だ。


第一回の開催と同じ、幾何学模様の美しい庭園には夏の風が爽やかに吹きわたって、涼しさを運んでくれる。


各テーブルにはエレガントなレース模様のパラソルが用意されていて、淑女たちの肌を守っているけれど、やっぱり初夏の気温をすべて防ぐことは難しいらしく、みなさま思い思いのチェアに座って、扇で風を送りながら談笑していらした。そんな姿も優雅なのだからさすがだ。



「お久しぶりです、クリスティアーヌ様」



ぼんやりとお姉さま方を眺めていたら、淑やかで優しい声が私を呼んだ。



「エールメ様! お久しぶりです」



振り返ると、エールメ様が微笑んでいた。相変わらず、穏やかで優しい笑顔だ。リナリア嬢と一緒に逃亡したガルア様の元婚約者、エールメ様。


居丈高だったガルア様の婚約者とは思えない、控え目で大人しい方で、一緒にいるだけで癒される。



「うふふ、お元気そうで何よりですわ」



目尻が柔らかく下がって、いっそう優しそうに見える。いつ見ても聖母みたいな人だなあ。ついつい見惚れていたら、エールメ様が思いがけない事を仰った。



「お会いできて良かったですわ。今日は私、クリスティアーヌ様にお話したいことがありましたの」



その言葉に、さすがに私もピンときた。

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