やる気がみなぎってくる!
「グレースリア様、楽隊課及び騎士課より、王宮での試技申請が出ております。三日後までにご検討の上採否の判断をお願いします」
「分かったわ」
「それから錬金課の申請書の返却期限が本日ですが、準備はできておりますでしょうか」
「もちろんよ、さっそく返却に行ってもらえるかしら」
矢継ぎ早な私の問いにグレースリア様がさばさばと答えてくれて、生徒会の仕事がバリバリはかどる。吹っ切れたからか、学園生活にも生徒会の活動にも気合充分で取り組めるようになってきた。
レオ様だって慣れない土地で頑張っているんだもの、私だって負けてなんかいられない。
生徒会のお仕事もしっかりやって、魔法も上手になって、強くなって、レオ様が帰ってきたらそんな近況をたくさんお話して、安心してもらえるように頑張らなくちゃ。
そう思うと、自然にやる気なんて溢れて来るもの。
生徒会での今の私の役割は「庶務」。
もともと生徒会の役員に任命された折はアデライド様が庶務で、私は会計だったのだけれど、新生徒会で話し合った結果、役割を交換することになったのだ。
アデライド様は将来、国の財務系を司る官僚を目指しているし、数学がとても得意だ。会計にとても向いているし、知識やノウハウを身に着けるなら早い方がいいだろうという、グレースリア様の判断だった。
それに、私自身も庶務を担当できるほうが都合がいい。
なんせ、市井官を目指しているんですもの。職務としては会計よりは庶務の方が近いだろう。
学園内の雑事やもめごとにも対応し、たくさんの課と生徒会との橋渡しを行う、私にとっては後々の仕事に役立てられる様々な経験が得られそうなポジションなのだから。
「クリスティアーヌ様ったら、随分と張り切ってるわね」
立て続けに何件か報告を行ったら、グレースリア様から笑われてしまった。セルバさんからついでに回復魔法も魔力循環に組み込んで貰っているっていうのもあるからかしら。
やる気がどんどん溢れて来るし、体力も万全。いくらだって動き回れそうなんですもの。
「元気になって良かったですねぇ」
「まったく、手のかかる」
マルティナ様とアデライド様にも微笑ましそうな目で見られてしまった。でも、心配されるよりはずっといいもの。
「このところ体調が良くって。では、錬金課の棟に申請書の返却に行ってまいりますわ」
元気よくそう言い残し、私は生徒会室の扉に手をかける。
「クリスティアーヌ様!」
生徒会室を出ようとした途端、グレースリア様に呼び止められた。