表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

160/282

セルバさん、遅いな

その週末、私は早速行動を起こした。


テールズに入るなり、エプロンを身に着け腕まくりする。


気合を入れて次々入る注文に元気よく対応しつつ、私はどきどきしながらどうお願いしようかと考えていた。


実はセルバさんに、また魔法をしっかりと習おうと思っているの。私の魔法の腕があがれば、レオさんがまた負傷した時にも、きっと対応できると思うから。


ただ、お願いしようとさっきから待っているのだけれど、セルバさんがなかなか来ない。


通常セルバさんってテールズで働く私を護衛するために来ているだけに、私がテールズにつくとそう変わらない時間に現れていたと思うんだけれど。今日はどうしたのかしら。


ついついチラチラと入り口を見てしまう私を見て、女将さんがおかしそうに噴き出した。



「クリスったら今日はえらくそわそわしてるねぇ、レオ坊はまだ帰らないんじゃなかったかい?」



女将さんの指摘に、思わず赤くなってしまう。なんだかちょっと恥ずかしい。


そんなに分かりやすくそわそわしていたんだろうか。しかも、そわそわしているイコール、レオさん待ちだと思われているのもなんとも照れくさい。



「い、いえ、違うんです。その、セルバさん、遅いなと思って」


「お、待っててくれたのかい? 冥利に尽きるね」



今度は入り口の方からからかうような声が聞こえて、振り返れば、件のセルバさんが疲れた顔で佇んでいた。


うわぁ、なんか顔が青いを通り越してなんだか白いし、くまがすごい。もしかして徹夜でもしたんだろうか。



「遅くなって悪かったね、少し仕事がたてこんでいて」


「少しって感じじゃないですけど……いつものコーヒーでいいですか?」


「うん、ありがとう。こんなのどうってことないよ、日常茶飯事さ。それでクリスちゃん、僕に何か用だったの?」



そう問われたけれど、疲れ切った様子のセルバさんに頼むのはさすがに気が引けて、私は言い淀んだ。



「あれ、どうしたの? 気になるじゃない、教えてよ」


「いえ……お願いしたいことがあったんですけど、疲れていらっしゃるみたいなので、また今度で」


「あれ? 僕、そんなヤバそうな顔してる?」



ちょっと目を見開いたセルバさんはうーんと唸ったあと、さらりと何か呪文を唱えた。



「わ」



キラキラと綺麗な光がセルバさんを包んで、一瞬で顔から疲労の色が消えていく。肌には血色が戻って色艶もいつもと同じくらいに復活したし、驚いた事に目の下の色濃いくまも消えてしまった。



「いつもはちゃんと疲労回復の魔法かけてからくるんだけど、面倒だったからさぼっただけなんだよ。逆に心配かけちゃったみたいで、悪かったね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【作者の先日完結作品】こっちもオススメ♪

ここをポチッと押してね(^-^)

『魔法学校の無敵の首席騎士様は、ちょっとコミュ障、大型わんこ系でした』

先日完結しました。首席騎士様が強いのにカワイイとの感想を多数いただいております(笑)

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ