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またもプレゼントが爆笑されているんですが

「あの、レオ様」


「ん?」


「卒業のお祝いを、お渡ししたくて」



言った途端に、レオさんの顔がパアッと輝いた。やっぱりとっても期待してくれているらしい。



「あの、白のクラヴァットなんですけれど」


「へえ、それは助かるな! もしかして今回も刺繍してくれた?」


「はい……! 頑張りました」


「見てもいい?」



覚悟はしていた、レオさんはその場で見る人だ。私はごくりと唾を飲んで、深く頷いた。


目の前でほどかれていくリボンとラッピング。あっという間に箱が出てくる。その箱を躊躇なく開けたレオさんの顔が、わかりやすく綻んだ。


良かった……! この顔は確実に喜んでくれている!



「俺の剣だ」


「はい! お父様からお城は魔窟だと聞きましたので、レオ様をしっかり守れるようにご愛用の剣にしてみました」



途端、吹き出されてしまった。



「ちょ……っ、さすがクリス……ティアーヌ嬢」


「え? え? なにかおかしかったですか」



多分馬車の中だったら人目をはばかる必要なんてないから、今以上に爆笑されているに違いない。そう確信できるくらい、レオさんの肩が震えていた。



「あ、愛用の剣は割とスタンダードな意匠だと、思ったんですけれど……」



もしかして、刺繍の腕前がダメだったのかと一瞬思ったけれど、レオさんはそれを大笑いするような方ではないもの。なにかがレオさんのツボに入ってしまったに違いない。



「いや、選んだ理由がね、クリスティアーヌ嬢らしいと思って」



自分の発言を思い返してみたけれど、特におかしなことを言った覚えがない。私、笑いをとるつもりじゃなかったんだけど……。



「俺の事を思って選んでくれたのも分かったし、剣の細かいところまで再現してくれてるし、最高のプレゼントだよ。本当に嬉しい、ありがとう」



ようやく笑いの波から解放されたレオさんが極上の笑顔をむけてくれる。


釈然としない気持ちは残るものの、でもここは気持ちを切り替えよう。なんせ私にはもうひとつのプレゼントが残っている。


これは店主のハワードさんが選んでくださった三点の中から、考えに考えて選びぬいた逸品だもの、たぶん笑いの要素はない筈だ。買っておいて良かった。



「レオ様、実はもうひとつプレゼントがあるんです!」



せっかくプレゼントを楽しみにしてくれてたんだもの、こっちのプレゼントがレオ様の嬉しいツボに入ってくれることを祈ろう。



「えっ、このクラヴァットだけでもすごく嬉しいのに! まだあるの!?」



素直に喜んでくれたらしいレオさんに、小さな箱を手渡す。


早く、早く開けて下さい!

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