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今日はどちらに向かっているんですの?

そして、待ち合わせの朝。


緊張してなんだか早く起きてしまった。いつもは学園で会うか、テールズで働いているところにレオさんがふらりとやってくるパターンだったから、こうして邸でレオさんが来るのを待つのなんて、紅月祭の時以来だ。


なんとなくあの日の緊張感が思い出されて、私は朝からずっとそわそわしている。


ああもう、いっそレオさんが早く来てくれればいいのに。



「クリスティアーヌ様、お気持ちは分かりますが、少し座ってくださいませ」



ついに部屋付きのメイド、シャーリーに苦笑されてしまった。



「ジャスミンティーを淹れますから、気持ちを落ち着けてはいかがです?」


「分かってはいるんだけれど、落ち着かないのよ」


「御髪が乱れますよ」



言われてハッとする。今日は縦ロールを解放して、ゆるふわウェーヴにして貰ったんだったわ。


猫っ毛ゆえにガッチガチに固めないとすぐに絡んでしまうわがままヘアなのは仕方がないとして、せめてレオさんに会う瞬間までは最高の状態を保ちたい。


私は大人しく椅子に腰かけて時を待った。



「レオナルド様が到着されました」


「きた!!」



思わず口から飛び出た言葉をおさえるべく、慌てて口に手を当てる。


シャーリーは笑いながら、「では、まいりましょう」と、部屋の扉を開けてくれた。


自室から、レオ様が待つエントランスまでの僅かな間が、なぜかとても遠く感じる。



「開けますよ」



ゆっくりと開けられた扉の向こうに、レオさんのすらりとした長身が見えた。



*******************************



「可愛い! 超可愛い!」


「も、もういいですから……!」



エントランスでは拍子抜けするくらいに淡々と貴族然とした挨拶を述べて、颯爽と私をエスコートしてくれたというのに、馬車に乗った途端、レオさんはもう、壊れたみたいに「可愛い」ばっかり口にしている。


レオさんが一生懸命褒めようとしてくれているのは痛いほど伝わってくるのだけれど、恥ずかしいやら申し訳ないやらで、だんだんいたたまれなくなってきたんですけど。



「あの、今日はどちらに向かっているんですの?」



なんとか話題を変えようと、今日のプランについて聞いてみることにした。


珍しくもレオさんが、下町での軽装ではなく、ドレスアップしてきて欲しいなんて言うものだから、私だって一生懸命に準備したんですもの。どこに行くのかくらいは知っておきたい。



「ああ、今日は歌劇を見に行こうと思ってるんだ。紅月祭で色々出し物を検討した時に見つけたんだけど。ものすごく煌びやかで一見の価値ありだよ」


「歌劇! 素敵……!」



わぁ、凄い。オペラみたいな感じかしら、それとも宝塚みたいな、あんなキラキラしい感じかしら。どちらにしてもきっととても豪華だろう。

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