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恥ずかしくて死にそう

お母様には帰ってから抗議するとして、とりあえず今は分かっているならば話は早い、と思うことにしよう。頭を切り替えないと、恥ずかしくて死にそう。



「そ、その、レオナルド様への贈り物です……」



なんとかそこまでは言ったものの、混乱しきりの私の心中を感じ取ったのか、カーラさんが、目配せしてくれる。たぶん、代わりに説明しようか? って言ってくれているんだわ。


私は、素直に頷いた。ちょっと今は、まとまった話し方ができる気がしないんですもの。



「えーと、もちろん本命のプレゼントはクリスティアーヌ様お手製の刺繍が入ったクラヴァットなので、それを殺さないものがいいと思うんです」


「確かにそこは重要ですな」


「あと、王宮勤めをされるそうなので、日常的に使ってもらうなら年齢とか家格によっても相応しい装いとか、あるんじゃないかって話になったんです」


「でも、あたし達じゃそういうの、分からなくって」


「お店の方に相談した方がいいんじゃないかって」


「そしたら、クリスティアーヌ様が、ここのお店なら相談にのってくれるかもって」



カーラさんとエマさんが、一から十まで正直に説明してくれる。こうやってきくと情けないと言うか、ちょっと恥ずかしいと言うか。


それでも、ますます赤くなった私に、ハワードさんは孫でも見るような温和な微笑みを見せてくれた。



「なるほど、それは責任重大ですな」



深く頷いて、目尻の皺を深くしたかと思うと、ハワードさんはドンと自分の胸を叩いて見せる。



「しかし、そういうことであればお任せください。伊達に何十年と公爵様や奥方様と取引させていただいているわけではございませんよ」


なんて頼もしい……! カーラさんとエマさんも「わあ!」「良かった!」と歓声を上げている。



「マナーに関しては既に頭に入っております、ご安心を。あとは……レオナルド様ご本人の好みや反応も考慮したいところですな」



ハワードさんは整えられた口髭の端を優雅に触りながら、僅かに目を閉じた。



「クリスティアーヌお嬢様、ひとつ質問させていただいても良いですかな? レオナルド様に他にもプレゼントをお渡ししたことは?」


「ありますけれど」


「差し支えなければで結構ですが、何を贈ったかと、その反応をお聞かせ願えますかな?」


「……」



恥ずかしい。私は密かに身もだえた。


でも、レオ様がどんなプレゼントを喜ぶかっていうリサーチには必要な情報だというのも分かる。


仕方なく私は、レオ様が疲れていそうだったから、回復の魔法陣を刺繍したハンカチを贈って爆笑された話も含め、つっかえつっかえ何とか全てを話し切った。


ハワードさんは興味深そうに「なるほど、なるほど」と熱心に、至極真面目に相槌を打ってくださる。


そして、カーラさんとエマさんが瞳を超絶にキラキラさせて、私達の話に聞き入っていたのは言うまでもない。

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