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グレース、グッジョブ!

仕方なく、さっき思ったことをそのまま口にしてみた。



「レオ様、もの凄い人気でしたね」


「そうかな」


「はい、花束も贈り物も一番多かったですし、私、なんだか圧倒されてしまって……泣いてる女の人も、その、何人かいたから」



言ってしまってからハッとする。思わず口をおさえて見上げればレオさんの目が輝いていた。



「もしかして、ちょっと妬いてくれた?」



図星を指されて急激に顔に血が集まる。


恥ずかしい、レオさんの卒業を祝い、別れを惜しむ人たちにまで妬いてしまうだなんて。



「うわ、真っ赤。そっかー、クリスちゃんが妬いてくれるとは……!」



感無量だよ、卒業して良かった、なんてレオさんはおどけて笑ってくれるけど、正直いたたまれない……。


レオさんといると、これまで感じた事のない感情がたくさん生まれてきて、このところ自分の感情に戸惑ってばかりだ。


なんとかこの恥ずかしい状況を打破すべく、私は慌てて話題を変えた。



「レオ様、あの、私も贈り物があるんです。あの、でも」


「えっ、ありがとう」


「でも、今日はたぶん持ちきれない程、在校生から贈り物を貰うだろうから後日になさいって、グレースリア様が仰ったので、今日はその、持ってきていなくて」



ああ、私のバカ!


いくら話題を変えたくて焦ってたって、持ってきていないプレゼントの話を持ち出すなんて。


自分にツッコミを入れても、口から出てしまった言葉は取り戻しようもない。仕方なく、私は情けないフォローをする羽目になった。



「だから、できれば近々、お会いした時にお渡しできればって思っていて」


「まさかのクリスちゃんからのデートのお誘い!」



なぜかいきなりレオさんがガッツポーズをした。「グレース、グッジョブ!」と小さな声で呟いて、グレースリア様を密かに褒め讃えてもいる。


なんなんだろう、でもとりあえず、喜んでくれたみたいだからいいのかな。


ちょっと困惑していたら、レオ様が私の両肩に勢いよく手を置いて、キラキラした目で覗き込んできた。うわ、か、顔が近い。



「楽しみにしてる!」



すごい、笑顔が輝いてる。どうしよう、手作りの品だから心はこもっているけど、出来栄えは正直そこそこで、ご期待に沿えないかもしれない。今からでも何か買った方がいいかも知れない。



「クリスちゃん、三日後だったら学園も休みでしょ? 俺、迎えに行くから!」


「は、はい!」



上機嫌のレオさんは、あっという間に日取りまで決めてしまった。



「はは、なんか照れるね。今までは生徒会やテールズで普通に会ってたから、こうやってちゃんと日取りを決めて会うのって新鮮でいいよ」



そう言って嬉しそうにレオさんが笑うから、だんだん私も楽しくなってきた。


よし、こうなったら素敵なプレゼントを買い足して、ご期待に添えるように頑張ろう!

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