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これが、私のイメージ……?

胸もとは光沢のある純白の生地に小さなパールがたくさんあしらわれていて、柔らかな光を宿しているし、腰から下に向かって華やかなレモンイエローに変わっていくグラデーションも見事だ。


そしてなにより、スカート部分の生地が素晴らしい。


薄い薄い、透けるほどの柔らかな布地が、まるで蓮の花を形作るように幾重にも重なって、ボリュームがあるのに驚くほど可憐。


黄色という華やかな色なのに、どこか清楚なイメージもあるそのドレスは、かつて私が見た中で最も心惹かれる愛らしい一着だった。


こんなに可愛らしいドレスが、私のイメージ……?


嬉しいけれど。


嬉しいけれど。


急に私のなかに不安がむくむくと大きくなっていく。


ごめんなさい、レオさん。どう見ても私、似合う気がしないんです……!



「とっても可愛らしいドレスだわ。クリスちゃん、着てみなさいな」



それでもお母様に促され、シャーリーの手を借りて私はおそるおそる、その柔らかなドレスを身に纏う。



「あの、どうかしら」


「うふふ、鏡の前においでなさいな」



正直、私のきつめの顔にはこの愛らしいドレスは似合わないんじゃないかと猛烈に心配したけれど、お母様のニコニコ顔に少し安堵した。ドレスの裾を持ち上げて、鏡の前に移動する。


何層もの柔らかな布地は、手のなかでも軽くてしなやか。まるでわたあめみたいね、と夢心地で鏡を見上げた私は、絶句した。


……いやいや。


ないでしょ。


やっぱり、この可愛らしいドレスと縦ロールは、完全にミスマッチでしょ。


私はへこんだ。



「いやだわ、クリスちゃん。なんて顔してるの」


「だって、似合わない……。レオ様に申し訳なくて」


「まあ、そんなことないわ。レオ君は本当にクリスちゃんをよく見てくださっているって、私、感動したくらいよ」



お母様はそう言って嬉しそうに笑うけど。


それ、親の欲目だと思います。はっきりいって、ものすごくアンバランスなんですもの。



「シャーリー、クリスちゃんの髪に櫛を入れてあげて」



お母様の一言で、シャーリーは心得ましたと言わんばかりに私の髪を梳る。毎日しっかりと頑丈に縦ロールに巻かれている髪が、シャーリーの手で緩やかにほどかれていくのを、私は半ば諦めの境地で眺めていた。


丁寧に梳いて、空気を入れるように髪をふわふわと揺らしては毛先だけをまあるく纏めていく。さすがの手つきに少し見惚れてしまった。



「これって」



鏡のなかには、すっかりゆるふわウェーブになった私。


いつものガッチリ纏まった縦ロールが嘘のように、軽くて細い繊細な髪に見える。走ればふわふわと浮いてしまいそう……。


私は思わず指先で髪の毛に触れた。

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