子育て勇者と魔王の子供・49.6
皆様、ぽちお好きですね……昨日の感想コメントは、ぽちばっかりでした(笑)
とりあえず、プチ更新です。
事情を聴いた盗賊ギルドの長は、爆笑した。
「あーあー、なるほど。あの姫ならそうなるじゃろうな。うはははは、魔王の息子が姫の理想の男の子か。笑えるのう」
王立研究員の長は、こめかみをもみほぐしている。
「……姫にも困ったものだな。早く逃がしてやったほうが良いのではないか。まぁ、あの子が盾になっているのなら餌食になるとも思えないが……万が一と言うこともあるし」
大神官も苦笑している。仲間たちの意見は一致していた。
姫の餌食になる前に、彼らを王城から出すべきだ、と。
「不穏なものが子供たちの頭上に漂っていますしね」
「ああ、連絡が来ている。大魔王の魂とやらだろう?」
「さすが魔族と死の化身の子供じゃのう。いやいや、父親の体質に似なくて良かった良かった」
彼らは双子の両親を見知っている。父親がとても病弱だったことも知っている。母親が何者なのかも知っている。
「王都でごたごたする前に、故郷に戻してやったほうがいいのではないか?」
「それが一番でしょうね。あそこには皆様そろっていますし」
「対抗できる存在がいるからの。転移魔法ででも送ってやればよかろ」
勇者の故郷の片田舎。しかし、そこには今、双子の母親がいる。
勇者の祖父母もいるし、勇者が戻ってくれば曾祖父母も来るだろう。
多分、それで決着がつく。
「世界最強の片田舎じゃのう」
「何をいまさら。あそこは世界一平和な場所だぞ」
「まぁ、カケラとは言え、神様がうろうろしてますからねぇ……」
何せ主神、母神からしてカケラを降臨させる場所である。
「うむ、やはりあそこに帰すのが一番早いし、穏便に済みそうだ」
「では、彼らを送り帰す手配は研究院に頼みますよ。王には私から話しておきます」
「わしは、姫に見つからないように城からの抜け道の手筈を整えておけばよいか」
王都にいる中でも生え抜きのお偉いさんたちが、勇者の知らないところで相談しているのだった。
「?」
「?」
「どした、イリック、イリア?」
「うん、なんかへんなかんじした」
「へんなかんじがしました」
「変な感じ?」
「……姫様でしょうか?」
「にーちゃん、にげたい」
「おにーさん、にげましょう」
「よ、よし、とりあえず鍛錬場のほうに走ろうか」
「わ、わたしも行きますっ」
勇者たちの知らないところで、偉い人たちの悪巧み(人聞き悪し)




