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子育て勇者と魔王の子供  作者: マオ
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子育て勇者と魔王の子供・45

 お城に住み始めて二日目。問題二つ目。

 ユーヤに会いに訪れたシヴィーラに、王様が惚れた。


 なんだかこう、いろいろと問題がないだろうか、この国。魔王も大概だったけれども、実は人間の国のトップも結構おかしかったのか。ユーヤは自問するが答など当然、出ない。

 視線の先では、父と娘が言い合いしている。

「まー、みっともない!! 自分の娘と変わらない年頃の女に心を奪われたですって!?」

「お前に言われとうないわい。だいたいな、妃に先立たれて十年、そろそろ寂しくなってくるわ! お前ももう年頃じゃし、婿とって身を固めてわしを引退させてくれ。わしはあの女性に求婚して幸せに隠遁する」

「引退するのは構いませんわ! むしろわたくしに王位を譲ってくださいまし! 権力に物を言わせて世界中の男の子を集めますわ!」

「そういうハーレムはどうかと思うぞ、わし」

 ハーレムって……誰かが似たようなことを言っていたと聞いたなぁと、ユーヤは思った。

 完全に目が愛に満ちている王に、一体何をどう説明しよう。

 発端は、シヴィーラはユーヤに手料理を持ってきてくれて、受け取って食べているところを王に目撃されたのだった。

 その後、あの女性は誰だ、紹介しておくれと食い下がられた。シヴィーラはイリアとイリックに追い返されたのだけれども、あの様子ではまた来るだろう。王城の警備など物ともせずに。

 一応、王には双子の知り合いだと紹介し、身元などはよく知らないと誤魔化したのだが、それも一時しのぎにしかならない。

 まして、シヴィーラは魔物だ。例え外見は若くても、実年齢は結構なものだと聞いている。

 年の差は愛でカバーできるかもしれないが、相手が魔物というのはどうだろう。


 悩むユーヤの両隣に腰掛けている双子が、ユーヤの背中をぽんぽんと叩く。

「いいあんです。あのおばあさん、おうさまとくっつけばいいのです」

「そーだ! ばあちゃんはおうさまのよめさんになればいい! そしたらにーちゃんにちょっかいだせないもんな!」

「そういうことですイリック」

「よし、にーちゃん! ばあちゃんおうさまにしょうかいしよう!」

 名案だ! と大きな瞳を輝かせる双子に、ユーヤは苦笑い。

「紹介って、どうやって? ええと、淫魔だっけ、シヴィーラさん。いつまでたっても年を取らない女性なんて、怪しまれるだろう?」

「かおがどうがんっていえばいいです」

「なんかのろいとかでとしとらないっていえばいいじゃん」

 双子はあっさりとそんなことを言い出した。

「それもそうですよ」

 オーラまで頷いている。目が、あの女を始末できるのならどんな手でも、と語っていることに、ユーヤは気付かなかった。

「いや、もし万が一、シヴィーラさんの素性がばれたら、イリックとイリアの素性も怪しまれる。できる限り穏便に済ませたいんだ」


 とかなんとか、いろいろ悩んだりしたユーヤの心配は、杞憂に終わる。


「結婚してくれ」

「え」

「あなたに惚れた。大事にするからわしと結婚して欲しい。幸せになろう」

 シヴィーラに会うたびにプロポーズする王に、シヴィーラはまんざらでもなく……というか、直球に弱いらしい彼女は、王のプロポーズ三回目以降、ユーヤに会いに来るというよりも王に会いに来るようになり。

「私、魔物ですけど、いいの?」

「魔物! ……その姿が本性ではないのかの?」

「いいえ。私は変身などしない魔物よ」

「ならよいわ。いつまでたっても若い嫁さんは男のロマン!! 改めて結婚してください」

「お受けいたします。久しぶりの年下……うふふ♪」


 フトコロの広すぎる王様のプロポーズに、淫魔、頷いちゃったのである。

 

「……なんか違う……なんか違う気がする……」

 呻くユーヤの背を、王女が叩いた。

「お父様は変わっているのですわ。あなたがあの女性魔物を紹介したですから、責任とってあの少年をわたくしの婿に」

「お断りします。というかいいんですか王女殿下。王妃=あなたの継母ですよ、彼女」

「構いませんわ。別に」

 構わないのか。大臣なんて頭を抱えているぞ。いいのか。

「構いませんわ。ほほほ。本当にマズイ相手なら、さすがにお父様も求婚などしませんわよ?」

 王女は自信満々言い切った。

 その自信は、父親を信じている娘のものだった。


 数日後、結婚を控えたシヴィーラが、経済を任されている大臣を呼びつけて叱りつけたとユーヤは耳にする。


「しかりつけた?」

 目を丸くするユーヤに、オーラが頷く。

「らしいですよ。なんでも、国費の無駄遣いがどうのこうのって」

「……はー……」

 どうやら、彼女、結構国政に向いているようで。見た目がかなり真面目そうな魔物だったのだが、見た目だけだと思っていたら中身もそうだったのか。

 いや、しかし、以前ぽちが彼女が国を滅ぼしたことがあるとか何とか言っていた気が。

 いいのか、これ。

 もしかしたら、シヴィーラを退治したほうがいいのか。

 ユーヤは内心で唸った。

 どうしたらいいのだろう。

 ――害が出たわけではない。とりあえずは、保留にしておこう。

美熟女ふらぐもポッキリ折れました(笑)

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