表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子育て勇者と魔王の子供  作者: マオ
42/117

子育て勇者と魔王の子供・40

 医者を頼み、子供たちの飴玉を買いに来た先で、兵士に出会った。

 もと同僚の彼らは、ユーヤを探していたという。

「え、なんで?」

「なんでもなにも、お前魔王の城まで行ったんだろ? この間、斥候せっこうが魔王の城にまで行けたって大騒ぎになったんだ。で、王がお前に話を聞きたいって」

「いやー、見つかってよかった。どこ行ったか分からないから、近隣の街しらみつぶしに兵が出てんだよ」

 かなりの人数が、ユーヤを探していたようである。

「なんかすごい大事になってないか?」

 どうしてそんな話になっているのだろう。王には報告したので、義務は果たしているはず。たとえ信じてもらえなくとも。

「おおごとだよ。魔王の姿も見えなかったらしいし、魔物の動きもウソのように穏やかだ。なぁ、魔王は本当に死んだのか?」

「死んだと思う」

 兵士Aの言葉にユーヤは苦笑い。以前オーラに言われたことが頭によぎったのだ。

 魔王は本当に死んだのか、と。

「まぁ、でも、俺も確認したわけじゃないからなぁ……埋葬してきたわけじゃないし……一応、寝室らしいところに寝かせてきたけど」

 子供たちの手前、遺体を放置しておくこともできず、とりあえず双子に聞いて魔王の私室である部屋に遺体を置いてきた。が、心音などまで確認してきたわけではない。もっとも、あの後妻らしき存在の声を聞いているので、魔王は確実に死んだのだろうと思う。

 奥さんが死の化身だということは、他言すべきではないとも、思う。


「じゃあ、やっぱりお前が倒したのか?」

「いや、病死。俺は何もしてない。玉座までたどり着いたら、もう瀕死だった」

「……本当か?」

「本当。王にもそう報告した」

 子供を預かったとかそういうことは報告していない。というか、信じてもらえなかった。むしろユーヤの子供だと思われた。何故だ。

「うーむ……まぁともかく、一旦戻ってきてくれないか? 王ももう一度詳しい話を、とお望みだ」

「それはまぁやぶさかではないけれども……あ、駄目だ。連れが今寝込んでいる。すぐに出発するのは難しい」

 と、説明すると。

「連れ? ああ、お前の子供? そりゃ大変だ。子供ってすぐ熱出したりするからなぁ」

「違うっ!」

 否定すると、兵士Bが驚いた。

「あ、子供じゃなくて奥さんか! え、次の子供ができたのかっ!?」

「それも違うッ!!」

 そもそも根本からして違う。オーラは妻ではなく、双子もユーヤの子供ではない。

 この誤解から解かねばならないのか。頭痛がしてきた。

 オーラのように寝こみたい気分だ。

「……とにかく、連れの女の子が寝込んでいるんだ。だから、もう少し時間の猶予をいただきたいと王に伝えてもらえないか? 彼女が回復したら必ず向かう」

「分かった。伝える。奥さん大事になー」

「だから違うって……」

 寝込みたい。


「なんと。嫁が寝こんどるのか。そりゃ無理強いするわけにいかんの。嫁と子供は大事にせにゃならん。特に子供は宝じゃ。うむうむ。滋養のあるものを食わせてゆっくり養生させろと伝えろ。報告は急がんでいい。妊婦に無理をさせてはいかん」


すごい誤解をされつつ、まだ続く(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ