子育て勇者と魔王の子供・39
子供は突然熱を出したりするもの、らしい。
が、さすが魔王の子供。イリックもイリアも丈夫で、風邪一つ引かない。
手がかからないのでありがたいことだ。
父親の魔王は病弱だったらしいが、父に似なくて良かったと思うユーヤだった。
旅に疲れて倒れたオーラの看病をしながら、苦笑い。
「すみません、ユーヤさん……」
「気にしなくて良い。オーラは長旅に慣れてないからしかたないよ」
賢者の卵、オーラは長旅に慣れていない。以前ユーヤと旅をしたときも一週間ほどの旅だったので、彼女が体調を崩す前に目的地につけたのだ。
ユーヤは魔王退治の旅に出るだけあって、身体は頑丈そのもの。ぽちは、何度ぶっ飛ばされても瞬間で復活するので、ひ弱なわけがない。
オーラが一番体力がないのだ。
「ねえちゃん、よわいなー。それでおれたちについてくるって、なにかんがえてんだ?」
「おねえさん、あしでまといです。こどものわたしたちよりよわいって。なんでついてきたですか」
「うう……反論できないぃ」
ベッドの中で呻くオーラの額に濡れタオルを乗せ、ユーヤは軽くため息をついた。
「そんなことはいいから、早く治すことを考えてくれな?」
「はい……」
気弱になっている彼女に笑いかけて、立ち上がる。
「医者呼んでくるから。イリック、イリア、ちょっとだけオーラのこと頼むな?」
「えー」
「えー」
「えーじゃない。すぐ戻ってくるよ」
双子はほっぺたを膨らませて不満を表していたが、考え直してくれたようだ。
「……むー。じゃ、なんかみやげー」
「おみやげほしいです」
要求された。
「ん? なにがいい?」
「おかし! あめだま!」
「おかしがいいです! わたしもあめだまたべたいです!」
人間の食べ物で、双子が食べて気に入ったのがお菓子だった。飴玉が気に入ったようである。城では飴玉など食べたことがなかったから、とのこと。
「分かった。買ってくるよ」
まだまだ子供だ。可愛いなぁと吹き出しそうになるのをこらえ、ユーヤは外出した。
「……飴玉好きなの?」
毛布の中からのオーラの問いかけに、イリックは振り返らずに答える。
「しろでくったことねーもん。いっつもけーきとかだったし」
「ちょうこうきゅうなおかしばっかりだったから、あめだまみたいなおかしはしんせんなのです」
「……ユーヤさーん、騙されてるー……」
だまされてるー(棒読み)




