子育て勇者と魔王の子供・33
風邪をひきました。皆様インフルエンザにはお気を付けください……。
さて、王に報告は済ませた。信じてもらえなかったのはともかく、義理は果たした。
次に考えることは、自分達のこれからだ。
ユーヤはとりあえず、故郷に手紙を書いた。
魔王は倒れました。なんか病気で。
平和が来た、と、思う。多分。
で、戦災孤児のような双子を拾ったので、育てます。
嫁はいない。俺の子じゃないからそこのところ誤解しないように。
えー、まぁ、元気です。じいちゃんばあちゃん父さん母さん兄さん義姉さん姉さん義兄さんも元気で。以上。
といったような内容の手紙を書いてみた。
これで、嫁ができたのか!? 孫か、ひ孫か!! と、誤解されるようなことはないはずだ、多分。
さて、次はどうしよう。
ユーヤは顔を上げた。
両脇から覗き込んでいる双子が、見上げてくる。
手紙を書くということが珍しいようだ。
「そういえば、イリック、イリア、文字は書けるのかい?」
「うーん、れんしゅうはしてたけど、おれはあんまりうまくない」
「わたし、かけます。でも、むずかしいもじはむずかしいです」
四歳児、少しは書けるようである。ユーヤもたいして上手なわけではないので、オーラに振り返った。
ユーヤの後ろに置いてある椅子で本を読んでいる彼女は、賢者の卵。知識の塊であるはずだ。
文字だって、研究したものを書き記したりするので、本職のはず。
「オーラ、子供たちの先生になってやってくれないか?」
「えー」
「えー」
双子の不満げな声が重なった。オーラは一瞬引きつり、何か大きな決心を強いられたように大きく息を吐き出した。
「……かまいませんけど、ユーヤさんも一緒にいてくださいね?」
「え? 俺? 字、ものすごく下手だぞ?」
「知ってます。一緒に教えてくださいって言ってるんじゃなくって、私の身の安全のためです……」
「?? なんかよくわからんけど、分かった」
「楽しく勉強しましょうね? おとなしく、楽しく、穏便に、平和に」
「ち」
「ち」
「ユーヤさん、見ました!? 今舌打ちしましたよ、この子達!?」
「こら。俺も一緒に勉強するから、頑張って字を覚えような? そのうち、俺の家族にお手紙出してみようか」
「にーちゃんのかぞく? ……うん、いいよ。おれがんばる!」
「おにーさんのかぞく……はい。わかりました。がんばります!」
「うん、がんばろうな」
一転して嬉しそうに頷く双子に、ユーヤも笑いかけた。
「なんだかそこはかとなく腹黒いものを感じるのは私だけなの……?」
「はっはっは、足手まとい寄生虫扱いの賢者の卵程度に王子と姫が心砕くわけがなかろうが」
「あなたもね、ぽち。というか、私よりあなたへの扱いの方が数段酷いでしょう」
「…………何気に言うな、女」
会話が多くなってきたので反省。分かりやすく、読みやすい文章を書きたい……文才が欲しい……。




