子育て勇者と魔王の子供・30
魔王夫妻の異世界恋愛はともかく、今は子供たちのことだ。
そろそろ生活費が心もとない。いい加減おたからを換金せねば。双子だけでなく、ぽちにオーラ、ときどきシヴィーラまでもがユーヤの財布を圧迫するのだから。
主に、食費で。
一緒についてくると言ったオーラは、まだまだ賢者見習い。
開発する腕前は凄くとも、資金がなければ開発もできず、出資してくれるものもヒヨっ子相手ではほとんど皆無。
ユーヤが出資したおかげで、無限の袋だけは開発できたけれども、彼が旅立ったあとは資金不足で、あまり開発もできなかったとのこと。
シスコンの兄も、必要最低限の援助(生活費)だけは出してくれていたが、研究は自分で道を切り開け、できなければ実家に帰るか、お兄ちゃんの助手として一緒に生活すること、と、条件を出されたオーラは、即座に自力で研究しますと答えた。
そういうわけで、今現在、オーラは貧乏だ。ユーヤが面倒を見るしかない。
やはり、換金しなくては。
「おねえさん、きせいちゅうです」
「しってるぞ! そういうの、ひもっていうんだ!」
「イリック、ちがいます。ひもは、おんなのひとのかせぎにたよっていきている、おとこのひとのことです。おねえさんはおんなのひとだから、きせいちゅうです」
「きせいちゅう……むしか!」
「そうです。おにーさんのかせぎにたよっているろくでなしのむしです」
子供たちの言葉を聞いて、オーラは背後にどよんと黒いものを背負っている。
ユーヤはひきつった。
……オーラの名誉回復のためにも、一刻も早く資金を得、彼女の開発がものすごく有用&有能だと言うことを感じさせなくては。
開発できるだけの資金と場所が在れば、彼女は有能なのだから。
「ユーヤさん、尊敬します」
「え、何を」
「あの子達を可愛いって断言できるユーヤさんの心の広さを……」
早く換金してこよう。内心の焦りを隠し、ユーヤはひきつり笑った。
すさみ始めてます、賢者の卵(笑)




