子育て勇者と魔王の子供・27
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真っ暗だ。
何も聞こえない。
双子の声も、オーラの声も、ぽちの悲鳴も。
……まずいな、と、ユーヤは思う。
もしかしてこれは死ぬかもしれん。
魔王を単独で倒しに魔王城に乗り込んだ勇者、普通の魔物から子供と仲間をかばって死す。
……いやいやいや、待ってくれ。まだ死ぬ気なんかないんだ。
護ってあげなきゃいけない子供たちがいるんだ。
魔王の子供だけど、素直な良い子たちで、ほかの魔物から護ってあげなきゃいけないんだ。
俺が、護ってやらないと。
「その心意気やよし!!」
闇の中、急に知らない声がした。気配も何も感じ取れないのに、声は続く。
「気に入ったぞー、おぬし!!」
女性の声だ。しかし、聞いた事もない声である。
「うむ。利用しようとしているのなら、このまま蹴落としてやろうと思っていたが、ふふふ、珍しくあのクソ馬鹿の判断が良かったということか」
なんだか満足げだ。一体誰で、何のことを話しているのか。
「子供たちをよろしく頼むぞ。クソ旦那は私のほうで折檻しておくのでな!」
……旦那? 旦那。妻帯している男の呼称。妻を持つ男。夫。嫁さんがいる男。
あれ?
「ははははは! では戻れ! 私のかわいーい子供たちがおぬしを待っているのだから」
ええと、あの、ちょっと待。
闇が切り開かれ、ユーヤはまた気を失った。
……おかーさん?(笑)




