子育て勇者と魔王の子供・20
今どういう状況なのか。
ユーヤは眉間のシワを深くする。
状況把握。昨夜、久しぶりのちょっとした町につき、双子にとって初めて人間の宿をとった。
もちろん、ぽちは町の外で野宿である。
すげーすごい人間の宿屋ー! とはしゃぐ双子に苦笑しながら、食事を取り(双子には帽子をかぶったままという行儀の悪いことをさせてしまったけれども、ツノがあるから仕方ない。)取った部屋に入り、眠ろうと思った。
双子には隣のベッドを二人で使わせ、ユーヤは一人でベッドに入った。
そこまでは、確かだ。
深夜、妙に寒くなった。なんだろうと思っていたら、双子が揃ってベッドに入ってきた。
「さむいー、にーちゃん、いっしょにねよー」
「さむいです」
と、言ってきたので、仕方ないかと一緒に眠った。
しかし北国でもないこの町で、どうしてこんなに寒いのだろうと思いながら眠り、朝。
……ベッドの脇で、美熟女が凍り付いているのは何故なのだ。
「……イリア、かな?」
起き上がって、脇ですぴすぴ寝息を立てている幼女を見下ろす。
魔王の娘である幼女は、魔法を使うことなく魔力を行使する。
得意技は、水や氷と、地属性。
双子のイリックは真逆で、火と風属性が得意らしい。
……状況証拠としてはばっちりなもの(かっきーんと凍り付いているシヴィーラ)がベッドの脇に硬直している。
「……夜中に来たのかな……でも、なんでだ」
そして、自分が気がつかなかったのは何故なのだろう。
敵意や殺気があれば、すぐさま気がつくのに。
妙に寒かったのも、この凍り付いている美熟女のせいだろう。
「……夜中に一体何が??」
鈍いユーヤが『夜這い』という単語に思い当たることはなかった。
ふらぐー、ふらぐー。




