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子育て勇者と魔王の子供  作者: マオ
14/117

子育て勇者と魔王の子供・14

「ぽち、おて」

「ぽち、おすわり」

「ぽち、とべ」

「ぽち、たきぎひろってきなさい」

「ぽち、ひのばんしとけよ。おれたちにーちゃんとねるから」

「ぽち、うっとおしいからあっちにいきなさい」


 扱いが、ひどい。

 勇者ユーヤは首をひねる。同じ魔物であるぽちにはこんなにも扱いがひどい魔王の双子、イリックとイリアだけれども、ユーヤにはこんな物言いはしないのだ。そもそも、向ける視線からして違う。

 ぽちには冷たい視線を向けるのに、ユーヤに対しては普通の子供となんら変わりない表情をするのだ。

 保護者認定されているのか。魔王の遺言に従っているだけなのか。

 一緒に歩いて数日が経つが、謎のままである。

 基本的に素直な良い子たちだと思うのだが、どうもぽちに対しては違う。

「……イリック、イリア」

「ん。なに、にーちゃん」

「はい。なんですか、おにーさん」

「あのさ、なんでぽちにはそういう態度? 同じ種族の魔物だろ?」

 疑問をそのまま口に出したユーヤに、双子はものすごく嫌な顔をした。それでもやっぱり可愛らしい。

「にーちゃん、おれたちとこいつ、いっしょにしないでよ」

「ぽちとわたしたちはおなじじゃありません」

「そうだ! 我輩程度と一緒にするなど、なんたる無礼者! 王子、姫、成敗する許可を」

 なんか喚きだしたぽちは、爆音のあと、静かになった。問答無用で黙らせるクセは治っていない双子である。後で双子に注意しておこうと思って、ユーヤもぽちを放置した。


「一緒じゃないのか?」

「ちがうよー。ぽちはしたっぱー」

「ええっと、かきゅうまぞくっていうのです。わたしたちはじょうきゅうまぞく」

「下級と上級……? なにがどう違うんだ?」

 魔物の生態など全く知らない。人間ではない生き物、くらいのくくりだ。

「おれよくしらねー」

「ええっと、まりょくをじょうずにつかえるか、つかえないかでちがうってききました」

 イリックは知らないというより、興味がないようだ。イリアのほうは一生懸命説明してくれている。

「ってことは……魔法が使えるか、使えないか?」

「ちがいます。まりょくです」

 ……どう違うのか。

「まりょくはちからそのものです。まほうはまりょくのつかいかたがへたっぴなひとが、いろんなところからてつだってもらうものです」

「あ、そうなんだ」

 イリアの説明は小難しい魔法の理論を聞かされるよりはよっぽど頭に入ってくる。

「そうです。わたし、みずとこおりと、じしんがとくいです。でも、あれはまほうじゃありません」

「そうだね。詠唱もしなかったし」

 人間が魔法を使うときは、絶対に詠唱が必要になる。上級魔法になればなるほど長い詠唱になる。難しいから余計にあちこちから手助けをしてもらっている、と、考えると納得がいった。


「ぽちは、まほうならつかえるとおもいます。でも、まりょくはそんなにつよくないです。わたしやいりっくみたいにはできません」

「へー……なるほど。イリアは賢いなぁ」

 小さな角を避けて頭を撫でると、イリアは照れくさそうに笑った。

「うー、にーちゃん、おれもー、おれもー!」

「あははは、はいはい」

 微笑ましいなぁと、撫でているうちに、最初の目的を忘れてしまった。


 どうしてこんなに双子はなついてくれているのだろう?


上級と下級の違い。でも小難しいこと分からない。お子様ですから(笑)

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