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第16話 ダーティ家の悪事の正体

 ダストたちへの報告を終えた俺たちは、客間に移動した。


 客間には俺たち以外にアリスの使用人が二人とリーエがいた。使用人のうち一人は、さっきダストに手紙を渡した時に一緒にいた五十代くらいの男。


 そして、もう一人は俺たちと同世代くらいの大人しそうな女の子だった。オレンジ色の髪に同系統の色をした瞳をしており、メイド服を着ている。


俺はそんな二人を軽く見てから、正面に座っているアリスに視線を向ける。


「アリス。一つ聞いておきたいことがある」


「なんでもお聞きください、ヴィラン様!」


 すると、アリスは嬉しそうに笑みを浮かべた。


 何か楽しい話でもするかのようなテンションのアリスに対して、俺は真剣な表情で口を開く。


「初めて会ったとき、『もう誰も信じられない』と言っていたな。あの言葉の意味を知りたい」


 以前、アリスを反政府組織から助け出したとき、アリスはそんな言葉を口にした。


 あの時は軽く聞き流してしまったが、原作のアリスは誰にでも優しく、そんな言葉を口にするキャラではなかった。


 それに、原作のアリスは反政府組織から救ってもらっただけで惚れるほどチョロインではなかったはずだ。


 そのような原作と今のアリスの違いに気づいた今では、あの言葉は無視してはいけない言葉のような気がした。


 誘拐事件が起きてからあまり時間が経っていないだけに、まだ聞くのは早い気がしたが、これからのことを考える聞いておいた方がいいだろう。


 すると、アリスは気まずそうに俺から視線を逸らす。


「あっ……そのことですか」


 アリスがしばらく黙っていると、男の使用人が俺のもとに近づいて来て頭を下げた。


「ヴィラン様。申し訳ございませんが、その件はお答えすることができません」


「いいえ、アレク。ヴィラン様にはお話しておきましょう」


 アリスは使用人の言葉に首を横に振ってから、真剣な顔で俺を見つめる。


「助けていただいたのに、真相を隠すなんて失礼ですわ。それに、ヴィラン様はもう身内ですもの」


 アリスは微かに微笑んでから、ウィナン伯爵の屋敷で起きたことを話してくれた。


 ウィナン伯爵の屋敷では、定期的に貴族同士のパーティが開かれているらしい。ウィナン伯爵の家は昔から王族と繋がりがあり、定期的にロマノフ家とも交流をしているとのこと。


 もちろん、ロマノフの家の者がパーティに参加する際は警備が厳重になる。しかし、多くの人が訪れるパーティなので、多少は警備にも穴ができてしまう。


 そして、その穴を突いたのが、アリスを小さい頃からお世話してくれていた付き合いの長いメイドさんだったらしい。


 アリスは眉を下げて言葉を続ける。


「後から分かりましたが、彼女の家はウィナン伯爵に強い恨みを持っている貴族の家だそうです。ウィナン伯爵の領地で誘拐事件が起これば、ウィナン伯爵の責任問題になって爵位が奪われると思ったのでしょう。彼女、そのためだけに私のお付きの使用人をしていたみたいです」


 アリスは自嘲気味にそう言って目を伏せた。


 ……まだ十歳になった子供が受ける仕打ちにしては、さすがに重すぎる。


 まさか、アリスがそんな目に合っているなんて、思いもしなかったな。


 俺はそんなことを考えながら、少しアリスの話に引っ掛かりを覚えていた。


 確か、アリスはロマノフ家とウィナン伯爵家は昔から関りがあると言っていた。それなのに、ただ誘拐事件が起きたからと言って、その責任を全てウィナン伯爵に向けることができるだろうか。少しずさんすぎないか?


 それなら、王家と関りがなく、ウィナン伯爵の隣にあって、反政府組織のアジトもあったダーティ家が疑われるのが筋なんじゃないか?


 ん? まてよ。まさか、原作で言われていたダーティ家の悪事ってこれのことじゃないよな?


 もしかして、俺が事前にダーティ家が悪役になる未来を防いだってことか?



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