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第12話 悪役、結果として子供を助ける

「ここか」


 俺は反政府組織の男たちを倒してから、工場跡地の奥に進んでいった。すると、鍵のかけられた掘っ立て小屋のようなものを発見した。


 男の話が正しいのなら、この掘っ立て小屋に誘拐した子供たちが閉じ込められているようだ。


 俺は男から奪った鍵を使い、その掘っ立て小屋の扉を開け放った。


「「ひっ!」」


 すると、そこには身なりの良い格好をした十数人の子供たちがいた。中にはドレスコードのような服を着た子供たちまでいる。


 子供たちは俺をさっきの賊のような男たちの仲間だと思っているのか、俺を見て恐れているようだった。


 俺はそんな反応を見て不敵な笑みを浮かべる。


「あんな小悪党どもと一緒にはされたくはないが……フフフッ、パッと見ただけで悪役だと思い込むくらいには、俺も悪役らしくなってきているようだな」


 俺がそんなひとり言を漏らすと、捕らえられている子供たちがざわつき出した。


 それから、一人の女の子が控えめに口を開く。


「一緒にされたくないって、どういうこと?」


「俺はガラの悪い男たちの中ではない。あの男たちを倒しに来たんだ」


 俺がそう言うと、また子供たちはざわつき出した。


 初めは困惑していた子供たちだが、俺が子供たちを外に連れ出し、倒れている男たちを見せると子供たちは歓喜の声を上げた。


「やった! 助けが来てくれたんだ!」


「あんな強そうな大人たちを倒すなんて……すごい、凄すぎる!」


 捕らわれていた子供たちはそう言って、俺に羨望のまなざしを向けてきた。


 小悪党を蹴散らす真の悪役。どうやら、そのカッコよさは子供たちにも伝わってしまった。


 悪役に憧れる子供たちが生まれているという現状、徳を積みまくったにもかかわらず俺をチュートリアルでやられる悪役に転生させた神様が見たら、さぞ悔しがるだろうな。


 俺がそんなことを考えていると、一人の女の子が俺の服の裾を軽く引っ張ってきた。


 振り向くと、女の子は控えめに口を開く。


「私たちを助けに来てくれたんですね。なんで私と同い年くらいの君がこんなことを?」


 いや、助けに来たのはついでなんだが。


 ただ小悪党のたくらみを台無しにしたら、真の悪役っぽいし、俺以上の悪役を許せなかったからなんだけど……説明すると長くなりそうだよな。


 所々端折って説明すればいいか。なんか短くそれっぽく言った方が悪役っぽいしな。


 俺はそう考えて、話しかけてきた女の子に不敵な笑みを浮かべた。


「信念に従って動いただけだ。別におまえたちのためではない」


「信念……かっこいい」


「フッ、よくわかってるじゃないか」


 悪役としての信念をかっこいいと言われて悪い気はしない。


 なんか尊敬するような眼差しを向けられている気がするが……まぁ、感性はいろいろだし、悪役を尊敬する子がいてもおかしくはないだろう。


「ん?」


 そんなやり取りをしていると、女の子の背後にもう一つ小屋があるのを見つけた。


 その小屋はさっき子供たちがいた掘っ立て小屋よりもきちんとした造りをしている。


 そういえば、男から奪った鍵がまだもう一本残っていたな。向こうにも誘拐された子供たちがいるのか?


 俺は解放した子供たちをその場に残して、少し離れたところにある小屋の方に向かった。


 鍵を外して扉を開けてみたが、中は真っ暗で人がいるのかさえ分からない。


 俺はランタンで部屋の中を照らしながら、小屋の中に入ってみることにした。


「おい、誰かいるのか?」


「……誰ですか?」


 

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