表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

前科持ちの俺(エンピツ)、お買い上げされる

気がつくとオレは、ペン立てのような棚に他のエンピツと立てかけられていた。他のエンピツどもがペラペラ喋っている。


向かい側の棚には、ノートや原稿用紙の置かれた棚が見える。


今まで半信半疑だったが、本当にエンマの言う通りなったようだ。ガヤガヤとしたその箱舟で、オレたちは情報交換した。


「おたくは、何で?」


「私、恥ずかしながら横領でして」


「それはそれは。そちらのお若い声の方は?」


「自分、スピード違反で運転してたらそのままガードレールに突っ込んじゃいました」


「大変でしたなぁ」


「いえ、一瞬のことだったんで」


ロクでもない奴らばかりだ、と思っていたがオレもその一人なんだよな。


「あんたは、何したんですか?」


ピンクの色鉛筆に聞かれたので、銀行強盗、と言いかけると伸びてきた手がオレを掴んだ。


「ヒロちゃん、これなんかどう?使いやすそうよ」


「ぐえっ」


中年の女の声とともにいきなり鷲掴みにされたオレは、思わず声を上げてしまった。他のエンピツどもは急に無言になった。皆、来世のために掟には忠実なようだ。


中年の女は怪訝そうな顔でオレを見たが、その後気に留める様子もなく、遠くにいる誰かを呼び寄せている。


すると、小学五、六年生くらいのガキが近づいてくるのが見えた。ガキのいた場所には、うんざりする量の本が収まっていた。どうやらこいつが「ヒロちゃん」らしい。


「ちゃんと外ではヒロトって呼んでって言ったじゃん」


「ごめんごめん、次から気をつけるから」


母親であろうこのおばさんは、気をつける決意の全く感じられない口調で呟いた後、オレをガキに見せつけた。


「どう?」


「何でもいいよ」


何だと、このクソガキ、オレを誰だと思ってるんだ、なめんなよ、と声に出さずにギャアギャアわめいていると、ヒロトの母ちゃんはオレをカゴに入れ、帰ろうか、と言った。


「タクミも待ってるし、ね」


「どうせ、引きこもったまんまだよ」


ヒロトが呟くと、母親の寂しそうな目がカゴの上から見えた。


「そんなこと言わないで、帰ろう」


どうやらオレの今生で関わる連中はずいぶんワケありのようだ。


体に刻まれたバーコードをリーダーでかざされてお買い上げされたオレは、ヒロトのペン立てに突っ込まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ