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あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~  作者: 深楽朱夜
第4部 生きる世界に微笑んで 立ち止まったら空を見上げて編

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11 行ってきます(釣られて行ってきます)

「おはようございますー」

「おはよう…」

「ん…」

「あーおは…」

起きるの遅い組、大河、チグリス、ジラ以外は起きて朝食を並べる手伝いを行っていた。

「今日は目玉焼きと腸詰を焼いた物とパンケーキにしてみましたー味は塩を入れているので、甘くしたかったら蜂蜜つジャムも作ってみたのでどうぞー」

「ポテトサラダもありますよー後はサラダです」

「キノコのスープと、牛乳と茶もある…」

「牛乳あっためてー」

「ああ…」

ジラに頼まれて千眼が小鍋で牛乳を温める、カイネは早々に食事を済ませてきゅう達やラドゥ達と畑仕事に向かった。

「うわ、これがジャムすごい美味いんだけど!!」

「この世界の果物は美味しいし、小振りな物もジャムにしやすくていいよね」

「これ売れる!間違いないぞ!」

ジラの目が一気に覚める、温かい牛乳とジャムをたっぷり付けたパンケーキはいくらでも入る、隣のチグリスはひたすら目玉焼きと腸詰…肉まで焼き始めて追加して食べていた。

「美味いな…で、今日は城に行って王の相手を適当にしてその後鉱物ダンジョンのドロップ品、魚の骨と貝殻を売って…」

「夜市ですね!」

「楽しみです」

「お酒も買わないと、後は野菜も欲しいですねー」

「まだ行ってない場所にも行きたいな」

「夜市は俺に任せておけ、面白いとこ連れていくから!」

パンケーキを5枚平らげた所でジラが活き活きとしている、本日のメインは城ではなく夜市と言うことに皆の中では決まっていた。

「そろそろ行くか、服一応俺の一式用意しておくか…」

「一応髪とか念入りに…」

「綴…もし見たくないモノが見えたらこれを…主…私もついて行こう…」

「え?千眼さん…わぁー髪留めの飾りに…」

「分かりました千眼さん…見ない事を祈りますが…気遣いありがとうございます、率君似合っていますね」

千眼が綴に自分の蝶から作った眼鏡を渡し、そのまま黒い蝶の姿に変わり、ハーフアップにした率の髪に飾りとして留まり、綴がにこやかに微笑み率の頬が少し赤らんだ。

「千眼さんが来てくれるなら心強いですね!」

「ああ、助かる」

「お、魔王も来るのか!これで何かあってもあの国ならこの面子で落とせるぞ」

「ん、出来るな…」

『やらないよ』

ジラが何故かワクワクしているが、4人が一斉に首を横に振るが…大河は内心向こうの出方次第では…と思っている。

「それではいきましょー」


「ハルタル、お前は今日限り副宮廷料理長をクビだ即刻荷物を持って出て行け!」

《ロメンスギル国》首都クイナト王城《ロスタナトス城》の厨房にてひょろりとした痩身の青年ハルタルが、中年の男に怒鳴り付けられた身を萎縮させていた。

「で、ですか料理長が出入りの商人から金を貰って…」

「いい加減な事を言うな!役人に付き出すぞ!前料理長に可愛がられていたからといって、デタラメを!」

「ち、違います!それに代々取り引きしていた商人の方達よりも、今貴方が…取り引きを…」

「黙れ!お前はクビだ!今の料理長は私だ!即刻出ていけ!お前達もこいつの肩を持つならわかっているな!」

血走った眼、身体から漂うとある香り…鼻の良い青年は顔をしかめた、これ以上ここにいれば他の同僚達にも害を及ぼすかもしれない…ここは諦めてペコリと頭を下げて厨房を後にする、若くして城の副料理長にまでなったがそれは全て捨て子だった自分を拾い、自分の料理の術を叩き込んでくれ父の様に思っていた前料理長のお陰だった。

厨房の裏口から出て隣の城の使用人たちが住まう寮に戻り、身の回りの整理を行う。

前料理長が倒れそのまま逝ってしまった後の次の料理長は、大した腕も無く、懇意にしている商人達から取引を持ち掛かられ賄賂を受け取り、その賄賂で王宮内の有力貴族達に金を渡し料理長の地位に就いた男だった。

料理の味は前料理長と比べ格段に落ちているが、金を受け取った貴族たちが口裏を合わせて美味と依然と変わらないと答える始末、現国王は前料理長の味を知らない、王座に就いても最近まで戦場の前線に赴き拙い常備食で糊口を凌いでいたと聞く、ならば以前の味は知らないのも仕方ない…今ハルタルにはこの王宮内に味方はいない。

粗末な布の袋に前料理長からの教えを書いた本を数冊と着替えと…僅かな貯えを詰めて寮を後にした…。


「この辺りで良いでしょう。しかし便利ですねー転移魔法」

商業ギルドにユナイドを迎えに行くと馬車が2台用意されていたので、試しに乗った結果乗り心地が悪い、とても悪い状態異常無効が無ければ確実に酔っているという事ですぐに降りて転移魔法で移動することになった。

「千眼さんがいてくれてよかったよ、結界魔法で馬車毎転移しても周りは気にしていないし」

訓練が行き届いているのか馬達は静かにしている、ユナイドが人あまりいない道を選び、片道30分の馬車の行程を10分程に減らす事が出来た。

「ですが…ここから先は王宮です、少し我慢してください」

御者には降りて貰った為馬車2台は、ユナイドとジラが走らせる事になった。

綴は城を見るなり紅い砂の様な物が城全体を覆っているのを視界に捉え、思わず口元を押さえて千眼がくれた眼鏡に付け替えると正常な景色になりほぅと息を吐く。

「綴さん…」

「大丈夫です…、率君。平気です」

にこりと柔和な笑みを浮かべる、そう、この眼鏡を掛け正常な景色を見ている分には…この眼鏡を付ける前にみたあの赤い砂…あれこそが呪い…はっきり言ってしまえば眉唾だと高を括っていたが、眼に捉えればあれは無理だと悟る、あの呪いを齎した者は何も許していないそれが伝わった…。

王宮の門が開き中に通される際に御者をしているユナイドとジラに、鎧を纏った兵士も皮の防具に槍を掲げていた門番達も皆一様にぎょっと驚いている様子だった、2人は特に気にせず馬車を所定の位置で止まらせた。

王宮の入り口前で待機していた、燕尾服を身に着けた老侍従とメイドらしき数名に出迎えられ中に通される。


「陛下は只今朝の議会中でございます、しばらくこちらでお過ごし下さい。何かあればメイドに…」

「いえ、こちらで…」

老侍従にユナイドが目線を向け首を横に振れば、一礼だけして侍従もメイドさえも音を立てず恐らく応接間だろうかその部屋を後にした。

「なあ、チグリス」

「ん…」

「アンタ、千年前の竜鬼戦争でこの城で死んだ鬼人族の皇子の婚約者じゃないのか?ドラゴンで深紅色で…名前はチグリス…世界で1頭しかいないよな?そんなドラゴン。この城に来て平気なのか?」

広い応接間の座り心地がそこそこ良いソファに各々座ると、開口一番ジラがとんでもない話を持ち出した。

『えっ?』

「やはり…そうでしたか…、鬼人族の皇子ラカンの婚約者の…」

「え、えどういう事?」

「チグリスさんの婚約者の方ここで亡くなっているんですか?」

「墓があるなら、墓参りをするか?」

「辛いようでしたら、畑に戻りますか?」

皆の驚きの声、ユナイドの確認の頷き、詠斗の状況が読み込めない表情、率の驚き、大河のマイペースは発言、綴の気遣いに顔色1つ変えず更にチグリスが追い打ちを打ってくる。

「婚約者だけじゃなく…親友もこの城で死んだ…他のドラゴンや鬼人族も死んでいる。墓は無い…2人の肉体は消えて何も残っていない…戦争だから…」

「……千年前の話しだしなーそれもそうか、聞いてみただけだし」

「ん、千年前に大破した城を初代ロメンスギルの王が再建してそのままだ…別に気にしていない」

「でも、アンタと皇子ラカンが成婚して子供が産まれていたらこの国の王はその子供で、アンタは龍皇国の皇帝の座に就く筈だったんだろ?」

『えっ』

「それは…歴史の真実に少し触れましたね」

「らしい…皇帝も興味なければラカンも好みじゃなかった…そもそも婚約破棄するつもりだったし」

『えっ』

「それは…歴史的新事実ですね」

「その前にラカンが俺の親友を好きになって……色々あって戦争が起きて……今ここ」

「……うん、後でナイルさん達に聞いてみよう」

『はい…』

「歴史に消えた真実が盛りだくさんですね」

「ま、気になっていた事が聞けて良かったわ。どうもー」

「ん…」

チグリスが面倒くさそうになっているので、詠斗は一旦この話しは切り上げて後でナイル達に確認する事にして、このタイミングでノックが室内に響く。

「どうぞ、謁見の間へ」

先ほどの老侍従が扉を開け全員に移動を促す、詠斗はこのタイミングでどんな気持ちで謁見すれば良いの分からないが…時間は無情にも過ぎていく、チグリスは謁見めんどいと言い残しコッソリ回廊で終わったらラインか電話してくれと言って何処かへ消えて行く、誰もそれは止められなかった…。


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