14 異世界流夜の過ごし方その3
「明日も湖で魚釣って貝とか採ってから、商業ギルドに行きましょう!」
「そうだな、石が入った貝があればいいな」
後片付けを行い皆でテントに移動する、早速シャワーの準備を行うとモグラ達も一緒に浴びるつもりらしく並んでいた。
「みんなで浴びよう」
早速服を脱ぎ洗濯も合わせて始め、シャワーを降らせていく。
「千眼さんの髪は俺とチグリスが洗うの手伝うよ」
「こっちは、きゅう達を洗おう」
「気持ち良さそうですね」
泡立てた石鹸で皆を洗ってやると気持ち良さそうにしている、毛も艶々になり風で乾かしてやると目を細めてみんなでくっついている。
「よし、おしまい」
「さっぱりしたな、テーブルだして飲み物でも飲むか」
「ほうじ茶で良いですか?」
「ああ」
「詠斗…果物」
「はいはい、きゅう達にもあげるね」
丸太のテーブルはきゅう達専用にし果物や野菜を盛っておいていやる、チグリスもそこに混ざり夜食として食べている。
「よく食べるな」
「沢山食べなよ」
「詠斗さんがくれるものはどれも美味しいですから」
「確かに…」
「それは間違いないな」
「えー」
詠斗、大河とナイルや千眼はてテーブルに座り冷えたほうじ茶を飲んで喉を潤す。
「ドワーフ工房で家具買ったから、ここに…」
収納から購入した本棚を出し、更に風魔法を使い収納から出した本をタイトル順に並べて収めていく。
「本棚、オーダーするか。鱗と石を飾る棚と…仕事をする机に引き出しがあったほうがいいな」
「これ読んでもいいか?」
「もちろん」
「私も読んでみた良いんですが、文字が読めなくて残念です」
千眼とナイルが本棚を眺めるが、ナイルが残念そうにしょぼんとしている。
「これを…」
手の平から黒い蝶を一羽出すと黒いフレームの眼鏡に姿を変え、ナイルに掛けられた。
「あ、読めますね。ありがとうございます」
「良かったね!ナイルさん。俺も読ませてもらおう」
「色々読んでみるといい」
「はい」
「俺は絵が良い、字は読まない」
夜食を食べ終えたチグリスも椅子に戻る、きゅうはまた図鑑を読みモグラ達も丸太のテーブルに乗ってきゅうの周りで一緒に図鑑を眺めている。
「なら、漫画か雑誌にするか?」
「ん、こっち。千眼俺もそれ」
「ああ」
チグリスにも眼鏡を掛けてやる、チグリスが選んだのは食べ物を特集している雑誌だった。
「千眼は今日は何を読むんだ?」
「これだな『君が朽ちても言葉は残る※』」
「私は『ハリー・ポッター※』」
「俺はまず薄くて読みやすそうな『群生※』」
「俺は家に届いたばかりの本を読むか…『変な絵※』」
しばらくそうして読書の時間を過ごし、詠斗とチグリスが寝るというので大河とナイルも寝ることにした。
「ハル達も一緒に寝るの?」
『もぐ!』『もぐぅ』『もぐっ』『ぴぃ』と詠斗達が敷いた布団にやってくる、布団の肌触りが良いらしいので寝たいらしい。
「いいよーおいで」
「ウィンは小さいから潰しそうだな、きゅうと一緒に寝るといい」
ウィンを抱えてきゅうの所へ運び、タオルを甲羅の上に敷いてハンカチを毛布代わりに被せてやると気に入ったのか潜り込んでいる。
「ハル達は俺と一緒でいいかな、おやすみ」
『おやすみなさい』
モグラ達が詠斗の布団の中に潜り込みすぐに寝息を立てる、それを聞いている詠斗も何時の間にか寝入っていた。
「この本も面白いな…このすまーふぉんという物が気になる、起きたら聞いてみよう…」
死んだ恋人の歩んだ人生を振り返りながら、主人公が前を向いていく物語を読みながら、詠斗達のいた世界の文化が垣間見えて面白い。
となりのきゅうは図鑑を読み終わり、哲学書『死に至る病※』を読んでいる。
「きゅう達も神々から神獣として神格化されたから、主たちの世界の文字も読めるようになって良かった…」
『きゅ!』首を動かし風魔法で本のページを開いて読み進めていく、ウィンはぐっすり眠っている。
「後でまた森に行こう」『きゅ』
きゅうにとって千眼との散歩は日課になっている、楽しみにしていた。
「今日は起きないようだな」
くすりと笑って本に視線を戻す、楽しい面白いと感じる自分の感情が愉快だった。
「おはよう、千眼さん」
「おはよう、主」
「ご飯の支度するね」
「手伝おう」
「ありがとう、今日はパンとソーセージとスープは味噌汁飲みたいからキノコとオマケしてもらった野菜入れてみようと…あ、ポテトサラダにしよう、千眼さん芋茹でたら潰して」
「分かった、パンの用意もしよう」
モグラ達も起き始め手伝いをしたいとの事なので、お皿やコップを並べてお茶を注ぐように頼む。
「おはようございます、私も手伝います」
「おはよう、ナイルさん。果物出すから切って貰っていい」
「おはよう」
「はい、分かりました」
「んー、おはよ」
「おはよう」
「大河さんチグリス、おはよう。飯で来たよー」
「んー」
「すまない」
丸テーブルにポテトサラダ、ソーセージとサラミを焼いたものにパンの残りと味噌汁と果物を並べていた。
丸太のテーブルにはきゅう達の食事を用意し、『いただきまーす』と朝食が始まる。
「本を読んで気になった物がある」
「なんだ?」
「すまーとふぉんという物」
「あー、持っているぞ。これだ」
食事が終わり食後のお茶
「これが…主人公が恋人の思い出を振り返って砂浜や学校を歩いたアイテムか…」
「機種は違うがな、ここじゃ動画やカメラ撮る機能しか使えないけどな、初期化するからあげよう。日本から持ち込んだ物は消化したり贈ったりしても手元の数は減らないしな」
「あ、それ新しい機種。いいなー俺のは3年使ってバッテリーの消耗も激しいし…」
「詠斗くんにもあげよう」
「俺も…」
「わ、私も!」
『もぐ!』『もぐぅ』『もぐっ』『ぴぃ』『きゅ!』ときゅう達も欲しいコールが入る、出したスマートフォンが9台に分裂した。
「あるほど…こういう事か…、お前たちどうやって持ち運ぶんだ?」
「なら皆の分の巾着袋を作って、紐を長くして首から下げられるようにしましょうか?」
「でも、大きさが皆には大きいかな」
「ならちいさくすれば良いだろ…」
チグリスが5台分のを手を広げ縮小させる、千眼が指先から蝶を9羽出しそれぞれのスマートフォンに入っていった。
「え、なにそれ!すご」
「……これは…」
「主たち、これで通話とラインも出来る…ネット?は出来ないが…充電も必要ない」
『は?』
チグリスの縮小化にも唖然とするが更に千眼の言葉に絶句する、便利というか…大河と詠斗は互いに顔を見合わせ深く考えるのを止めた。
「使い方を教えるぞー、一回席に着けー」
『はーい』
これより大河のスマートフォン講座が始まる、中々に充実した時間だった。
『君が朽ちても言葉は残る※』『群生※』=作者の考えた物語
『ハリー・ポッター※』=J・K・ローリング先生著
『変な絵※』=雨穴先生著
『死に至る病※』=セーレン・オービュ・キェルケゴール先生著




