5 2人目の異界人はイケメンです(お気遣いも忘れない)
「2人とも何かあった!?」
急いで詠斗とチグリスが戻ると、丸太のテーブルでお茶を飲んでいるナイルと千眼と…知らない男がお茶を飲んでいた。
「あ、もしかして…」
「君が1人目の日本人でいいのか?俺は峯尾 大河と言う。先ほど神々から説明を受けてこの地に来た」
「初めまして、時永 詠斗って言います。よろしくお願いします!詠斗と呼んでください」
「俺の事も大河で良い、今色々この2人から話しを聞いていた所だ」
「おかえりなさい、詠斗さん、チグリス」
「おかえり…」
『きゅ!』
「俺はチグリス、ドラゴンだ」
「話しは聞いていた、よろしく。大河と呼んでくれ」
「分かった」
目の前のもう1人の異界人の大河の印象は、(テレビとか雑誌とかに出てきそうなイケメンだぁ、手足長くて顔もすごい整っているし…)一方大河の詠斗の印象は(18~20歳位か?目がはっきりとしていて可愛い顔立ちだな、アイドルとかにいそうだ。歳上の女性にモテるよう…いや、ドラゴンや魔王にもモテ…カメもか…)という印象だった。
「暫く世話になりたい、俺にもここの開拓を手伝わせて欲しい」
「しばらくなんて、ずっといて下さい!心強い!」
「そうか、ありがとう」
「よし、皆今日は歓迎会だよ!」
「はい、お手伝いします」
「私も…」
「俺は寝る、出来たら起こして…」
チグリスはそのまま、地面に横たわり目を閉じて寝てしまう、きゅうも隣で休む事にしたらしく座って寛いでいる。
「仕方ないですね」
「チグリスも疲れているんだよ」
「そうだ、詠斗くん。これ日本から一緒に来たらから、どうぞ」
「え、うわ!味噌ときゅうりとビールにアメも!良いんですか!もらって?」
「もちろん、譲ったり、消費すれば復活すると神々が言っていたからな、遠慮なく使ってくれ」
「嬉しい、味噌汁が飲める!やった、大河さんも料理するんですか?」
「いや、しない。味噌はきゅうりに付けて食う」
「おいしいですよね!今日早速やりましょう。嫌いな物とかありますか?」
「…パクチー位か」
「分かりました!ご飯の準備しますね!」
「手伝おう」
「大丈夫ですよ、来たばかりですから休んでいて下さい」
「お茶置いときますからゆっくりして下さい」
「お言葉に甘えさせて貰おうか」
「はい!」
ニコニコとしている詠斗とナイルの言葉に甘え、丸太に座り少し目を閉じた。
やる事は多いが少しずつやっていけばいい、風もない枯れた大地に畑を作り作物を育ている詠斗はすごい。
ここで暮らしこの大地が新しい故郷になるのは、悪くはないと思いながら、浅い眠りにつく。
「ねぇ、大河は好きな子いないの?」
「なに、いきなり」
「なにって、近所の奥さんから聞かれたのよ、お宅の息子さんイケメンだから彼女いないの?って」
「母さん、大河はいつも学校終わったらいつも寄り道もせず帰ってくるじゃないか。デートなんかしてたら、もっと帰ってくるの遅いんじゃないのか」
「それもそうよね、せっかくイケメンに産んだんだから、あ遊びなさいよ」
「親の言う言葉?それ」
のんびり屋の父とおっとりとした母との最後の会話、もう別れてから大分経つ。
「もうそろそろ、お父さん迎えに行くけど大河は?」
「読みたい本あるから行かない」
その言葉に両親は互いに顔を見合せて笑う、仲の良い両親だった、すぐに帰って来るいつもと同じ日々の筈だった。
「本当、お父さんそっくりね」
「義父さんも閉館まで図書館に行ってるし」
「さ、行きましょう。買い物して帰ってくるけど何食べたい?」
「ハンバーグ」
「はいはい、行ってきます」
「うん」
両親を見送った、いつもと同じ日々…けれどその後は…。
「あ、起こしちゃいました?」
「いや、少し休んでいただけだ…すごいな」
「歓迎会なんで張り切りました!神様達からもお鍋とフライパン貰ったんで、沢山作りましたよー。ドラゴンの婚礼の試食も兼ねてるので、皆意見お願い。まず貝の味噌汁、レタスときゅうりの味噌マヨネーズドレッシングにキノコと腸詰めの炒め物、パンは固いから串に刺して火で炙ってるから、おかわりしたかったら言ってね。後魚の蒸し焼きとジャガイモの蒸し焼きは醤油とか味噌とかマヨネーズで自由に食べてみて、あ、この塩すごく美味しいんで是非使って下さい。後はデザートもあるよー」
目を開ければ所狭しと並ぶ料理、置ききれず丸太のテーブルがもう1つ増えている、焚き火の周りには串に刺したパンが沢山並んで地面に刺してある。
「さっき、聞いたがドラゴンの婚礼をここで行うのか?」
「はい!なので色々作っています。楽しみだなあ」
お人好しというか、人が良いというか屈託なく笑う詠斗に大河も笑みを浮かべる、ナイルと千眼とお茶をした時にドラゴンとネズミ(お伽噺のような話し)の婚礼に詠斗を招くだけが是非ここでも祝いたいという事で詠斗が発案したらしく、それに向けて村に買い出しやらしているとの事、人の良さが滲み出ている。
「さあ、コップにほうじ茶とお酒ビールは大河さんからね、飲みたい人は飲んでね。じゃ、大河さんが来てくれたお祝い、カンパイ!あ、因みにカンパイはコップとコップを軽く合わせて、労ったりお祝いしたりする事だよ」
「カンパイ」
「なるほど…カンパイ」
「婚礼でもやりましょう。カンパイ」
「腹減った、カンパイ」
『きゅっ!』
「あはは、きゅうもカンパイしてるよ」
「それでは、頂きます…詠斗さんこのきゅうりのサラダ?といものとても美味しいです、パ…父様もきっと気にいります」
「主、この味噌汁?美味だ」
「詠斗、キノコと肉食べたいもっと」
「この魚、うまいな、塩が合う」
それぞれコップを鳴らし、口々に感想を伝えてくれる。
大河は魚が気に入ったらしく、詠斗から串焼きも貰い塩を掛けて食べている。
「んー、マヨネーズと味噌は合うなぁー。パンの上に芋置いてソース乗せて、合う!」
「詠斗、俺もそれ食べる」
「主、私も」
「詠斗さん、私も是非」
「オッケー大河さんも食べてみます?」
「頼めるか?」
『きゅ!きゅきゅ』
「はい、もちろん。きゅうの分もね」
詠斗が皆の分を用意してくれている間、ビールを飲んだナイルやチグリスが目を見開く。
「大河さん、これがお酒ですか?」
「ああ、ビールって酒だな。大麦から作られる」
「これは長が食いつくな」
「ですね、美味しい…」
「苦味が癖になりそうだな…」
千眼もほぅ…と息を吐く、パンの追加を貰いこれにすごく合うと喜んで皆食べている。
「このパンうまいな、固いが焼けば香ばしい…」
「ですね、明日も買いに行こう。大河さんも来ます?冒険者ギルドや商業ギルドもありますよ」
「是非、ファンタジーの定番てやつか」
「魚とか貝殻とか買い取ってくれるんですよ」
「それは面白いな」
「でしょー」
話しは尽きないが食事は次々消えていく、粗方なくなった所でデザートが始まる。
「誰か氷出せる人いる?」
「あ、私出せます」
「あ、じゃあこの位の大きさのを出して」
「はい」
ナイルがテーブルに長方形の厚みのある氷の塊を出す、それを詠斗の火魔法で窪みを幾つか作る。
「中々良い感じ、で果物を…で割った割り箸を乗せて、よし。水飴を…」
「なるほど、フルーツ水飴か、懐かしいな。これは見た目も楽しいしいいな」
「はい、俺これ好きなんです」
ミカンモドキ(仮)リンゴモドキ(仮)ビワモドキ(仮)を一口サイズに切り窪みに落としていく、その上に小さい瓶の水飴を垂らして少し待つ。
「わあ、綺麗ですね。食べるのがもったいない」
「うまそう、食いたい」
「芸術のようだな」
『きゅ!きゅう』
「さ、好きなの食べて」
口々に冷たくて甘くて、美味しいと感想があがる、婚礼のデザートはこれにしようと決め、氷は最後きゅうが美味しく頂き、歓迎会はゆっくりと終わりを迎えた…。




