2 アタラクシアへようこそ
「うわ、ちょっ、何これー!」
宇宙を連想させる空間を荷物と共に落下していく、神秘的な美しい光景を詠斗は眺めている場合でもなく、すぐ足元に見える白い穴に飛び込む形で着地する。
「いた…くない?」
ドサドサ、自分とバッグとスーツケースが真っ白か地面にそっと着地する。
「ようこそ、我々の世界へ。歓迎する、我らの救世主たる異界人よ」
「え、何、いかい?」
呆然と歓迎された声の方を向く、そこには真っ白な衣装に上から下まで、顔もフードと布に覆われた性別や年齢も伺い知れない13人と彼らの背後に彼らの背丈半分程の地球儀のような物が置かれ、それ以外は只真っ白いだけの空間が何処までも続いていた。
「ここは何処ですか?何で俺いきなりここに?」
「ここは《アタラクシア》の神々が在る庭と言われる場所」
「アタラクシア?ゲームとか?いや、こんなリアルな訳…そっか夢かあーだよなー。いやー13連勤の夜勤あけだもんねー変な夢もみるよねー」
「これ夢じゃなくて現実ですよー」
詠斗が働いていた会社がブラックなのは置いて、今三人と会話したが声が同じで口調だけが違う風に聞こえるのはやはり疲労がピークだからだろうか。
「えー、夢でしょ、つねっても、いたっ。さっき落ちた時、痛くなかったのにー」
「それは衝撃がないようにした」
「痛い、嫌」
「落ち着いたなら、話をしたいのだが、よろしいか?」
「落ち着いてはいませんが、話しは聞きます」
ほっぺたをつねるが痛みはある、どうやら夢ではないなら進む。
「ふむ、時永 詠斗 21歳 彼女なし 未使用 家も今朝失う、仕事は倉庫でフォークリフトの運転とその他もろもろ。絶賛13連勤中 趣味は貯金 将来の夢は…」
「ちょっと待ったー何それ、怖いんですが、俺の個人情報漏れ過ぎ」
いきなりツラツラ詠斗の情報を語り出す1人を遮るが、他も特に気にしている様子もない。
「間違いでもあるのかい?」
「合ってますけどっ」
「なら続けよう」
「いやいやいや続けないでっ」
「ふむ、嫌なら止めよう」
「そうして下さい」
「では、こちらの話をしよう」
「はい、お願いします」
「それではこちらへ」
すす…音もなく正面の地球儀のような球体の前にいた面子が分かれ、1人が待つ場所へ道が作られる。
何処か儀式めいていて、詠斗の心臓がドクリと波打つ。
唾を呑み込み、ゆっくりと本の数メートルを一歩一歩しっかりと何故かそうしないといけない気がして踏み締めた。
あなたは異世界に行ったら何をします?~異聞・蒼刻の剣と黒騎士に捧げる英雄達の詩~
02刻 《アタラクシア》で最初の…
動いたの男だ、片足での地面を蹴っての跳躍、男は自身の身体の欠如を物ともせず挑む。
『……』
《黒騎士》は無言で剣を自身の黒い剣で受ける、男の剣は見た目よりも丈夫で剣は折れもせずそのまま目に見えぬ速さで剣を撃ち合う。
周囲には屍しかないが離れた場所からいくつも視線を感じる、男は距離を取りながら魔法陣を出し炎の矢を無数に《黒騎士》に放つが剣を薙ぎ風で打ち消し《黒騎士》が今度は地面を蹴り男に剣を振り下ろす。
「重い、ああ、重い…これが貴方の重さか…」
『……』
男は笑う、宝石の様な煌めくだが掛けた蒼い瞳が《黒騎士》を映す、空よりも蒼い瞳惜しむはその右眼が損なわれている事だろう。
撃ち合いが続く両者の実力は均衡していると言っても過言ではない、長い時間なのか短い時間なのか分からい時間撃ち合いそして…動いたのは剣が折れてしまった男の方だった…。




