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あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~  作者: 深楽朱夜
第1部 不毛の大地開拓 頑張ろう編

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20 巾着袋

「やっぱり森の果物とか美味しいなあ、今日はギルドと市場を見て、戻ってキノコ狩りと魚釣りしよ」

ミカンモドキ(仮)、ビワモドキ(仮)に木苺と干し肉を齧りながらほうじ茶を飲む、干し肉の硬さと塩辛さが癖になりつつある、チョコレートも食べて、歯磨きを行い身支度を整えてテントの外に出た。

外は明るく冒険者達が仕事を終えたのか、これから向かうのかガヤガヤと騒がしい、皆剣や杖や盾に槍や矢を装備し身体も屈強でこれぞRPGの世界だと興奮するが、じろじろ見ているのも失礼だと思い、目が合った冒険者にペコッと頭を下げて商業ギルドへ向かう。

「なあ、あいつか昨日ギルドでギョロリの鱗売った奴ってのは?」

「そうだ、弱そうな奴だよな。ヒョロっとしるし」

詠斗が去った後周辺の冒険者達が口々に言い合う、どうやら昨日の一件で詠斗の話しは広まってしまったようだった。

「鱗もあんだけ、しかも収納袋持ち。暫くは遊んで暮らせるだろうな」

「俺たちにも分けてもらうか」

「そりゃいいな、どうやって手に入れたか知らんが、巻き上げちまうか」

冒険者達の下卑た笑いが響く、そこへ堂々とした足音を立てた男が割り込む。

「お前達何をしている、恥ずかしくないのか」

「リギスさん!」

「お、俺たちは別に何も」

男の登場に他の冒険者達の姿勢が正しくなる、国内で数少ないA級パーティー《勝利の謳》のリーダー単独B級、リギス=イーストランの鋭い眼光が周囲を威圧する。

「我々はこれより、国王陛下の勅命を遂行する為、トタラナダンジョン第3階層に向かう。その任務中に…恥を知れ!」

『申し訳ありません!』

「リーダー、やっぱりおれらだけでいんじゃないすか?」

「うむ、大して実力もない奴らが来ても有象無象でしかない」

「そうよぉーコイツら壁になる位しか使い道なんかなぁいでしょぉ、クス」

「わ、私は皆さん仲良くやれればいいとおもいますぅ」

リギスの叱責に同じ《勝利の謳》のメンバーが次々意見を述べる、身軽さが売りの軽装の少年、背中に自分の背丈の半分以上ある斧を担いだ大男に、真っ赤な唇の妖艶な姿をした杖を持つ女性に、メガネと神官服が印象的な少女、どの面子も皆B級という凄腕の精鋭達、周囲は萎縮し気配を潜めている。

「これから、皆の力を合わせ難関と呼ばれるダンジョンに挑む。死にたくなくば、無駄口を叩く前に敵を叩け!行くぞ!」

『おー!』


などと冒険者達が士気を高めている事も知らず、詠斗は商業ギルドの応接室で出されたお茶と茶菓子をズィーガーから勧められ、食べながらゴーテンが来るのを待っていた。

「お待たせしましたぞ!エイト殿!」

勢い良くドアが開き、ゴーテンとその後ろに2人のどうやら部下も引き連れ現れた。

「どうも、ゴーテンさん」

「これを見ていただきたい、試作ですが中々な物が出来ました」

テーブルの上に部下の女性達が幾つか、試作を並べていく。

「わあ、エコバッグですね。ちゃんとポケットも付いていて、持ってみても良いですか?」

「勿論ですとも、正直な意見を出して下さい。他の部下達も来たがって煩かったのですが、この2名が特にとても熱心に取り組んでいたので連れて来ました」

「ナトゥと申します、この度はこんな素晴らしい物を作らせて頂き感謝します」

「私はアティといいます。このエコバッグはとても革新的です!新しい時代が来ますよ!」

ナトゥと自己紹介した若い男性とアティと自己紹介した中年の女性、2人とも目の下に隈が出来ているが興奮を隠せずにいる。

「詠斗と言います、宜しくお願いします。このエコバッグしっかり縫われていますね。内ポケットもありますし。外ポケットの生地は厚手で、色も幾つかあって選べる楽しさもありますね」

じっくりとエコバッグを確認する、厚手のしっかりとした生地に色は草花で染めた生地を使っているのか、緑や青、赤に紫もあり、内側のポケットも物が多く入るように幅広に仕上がっている、文句など付けようもない。

「売れると思います!販売始めたら、買いに行きますね!幾らくらいで売るんですか?」

「滅相もない、発案者のエイト殿からお金は頂けません。こちらの試作品で良ければお好きな物をお持ち下さい。生産の目処は立っているので数は多くは出せませんが、エイト殿が認めて頂ければ、明日からズィーガー商会で売り出せます」

仕事が早いその一言に尽きる、ズィーガーはニコニコと茶を飲みながらつぶらな眼を細めて、詠斗達のやり取りを見ている。

「売りだしたら見に行きますね、俺…はこの青いエコバッグを貰っても良いですか?」

「勿論ですとも、使い心地等教えて頂ければ改良などもします」

「あ、そうだ。あの作って欲しい物があるんですが…」

「はい!一体どんなものでしょうか!?」

その言葉にゴーテンがズイズイ詠斗に近づく、詠斗は身を引くがゴーテンの鼻息は荒い。

「エコバッグに工夫をして、ショルダーバッグ…斜め掛けのカバンが欲しくて…」

「紙とペンの用意を!」

「はい!こちらに!」

収納もエコバッグも便利だが両手が塞がらないバッグが欲しい、リュックでも良いかもしれないが構造が説明しづらいので、エコバッグを応用したバッグを作って貰おうと考えた。

「えっとですね、まずこのエコバッグの生地ををもう少し柔らかい生地に代えて…このエコバッグの取っ手部分とここまでをフタみたく出来るようにして、この辺の位置からこう…長めの平たい紐をこことこの位置で縫って付けてもらって、そうしたら斜め掛けが出来るように…」

説明中周りが静まり返っている事に気づく、ゴーテンやナトゥ達の口があんぐりと空いていた。

「エ、エイト様っ!そのショルダーバッグというものを是非是非!うちの商会で作らせてください!」

「え、俺は自分のを作って欲しくて…」

「勿論最高の物を作ります!ですからこのバッグを是非うちで!]

「ま、それなら…」

「こうしちゃいられない!制作部へ戻らないと!」

半ば強引に許可を得るとアティが鼻息荒く興奮し顔を真っ赤にして、叫びながら走って何処かへ行ってしまった…。

「申し訳ありません…エイト殿。教育が行き届いてませんでした。後で言い聞かせます。しかし素晴らしい発想力、商会の目玉商品になる事まちがいないですな」

ズィーガーが笑いゴーテンが眉間を抑える、ショルダーバッグは作って貰えそうなので、昨日(詠斗基準)作った巾着を2つエコバッグから取り出す。

「あの、俺が作った巾着袋です。不格好なんですが、ズィーガーさんとゴーテンさんよければどうぞ」

「おお、これは!」

「どうやって使うものですか!?」

ズィーガーには灰色の生地に緑系統の紐使った巾着、ゴーテンには淡い黄色の生地と暗い赤の紐巾着袋を手渡す、手に取った2人はじっくりと観察するように見つめ質問をする。

「これは…この紐をギュッと絞ると口が閉じて…口の部分に指を入れると開きます。小物とかコインとか入れるのに使おうと思って作ったんで良ければ…」

「エイト様!この巾着袋なる物も是非当商会で作らせて下さい!」

「あーこれは、この布をくれた店の人にも教えてあげようと…」

「でしたら当商会でも…ゴーテン様!」

「なら、王都などで高級品として高価な装飾を施し富裕層向けに…」

ナトゥが食い気味に許可を求めるが詠斗から他の店にも作り方を教えたいので、暗に独占するなと(そこまでは言っていない)にゴーテンとナトゥの短い話し合いが行われる。

「ではエイトさん、この巾着袋は当ズィーガー商会はトタラナでは販売しません、しかし他の地域では売っても構いませんか?」

「えっ、いいですよ」

縫い方を詠斗が教える、元々基礎はありすぐに構造や縫い方を理解し許可を貰ったナトゥが走り出す、奇声こそは上げなかったが周囲に風が吹いていった。

「エイト殿この巾着袋ありがたく頂戴致します、ショルダーバッグの件も感謝しております…この件で老人や仕事に在りつけない女性達をに働いて貰い、人を雇う幅が増えました」

「え…」

「ええ、エコバッグのお陰で作業場を1つ増やすことが出来ました。手先が器用また縫物を得意とする女性や子供、年齢関係なく仕事を出来る者がこのトタラナ村で増えました。それはこの村にとって新しい風が吹いた証です。エイトさん…これからもその比類なき知識を我々に与えて下さい」

深々とズィーガーとゴーテンが頭を下げる、詠斗は狼狽えてしまう只知っている事を伝えただけだ、それを実行したのは彼らだ、そして働ける人が増えたそれは彼らの努力だ。

「俺でよければ…」

詠斗もまた頭を下げる、照れくさいしむず痒い、けど結果に繋がっていくのが嬉しい。

「こんな素晴らしい知識や技術を持っている方に会えるとは人生何が起こるか分かりませんね…。この巾着袋のこの細かい縫い目…素晴らしい…」

頭を上げゴーテンが溜息を漏らして、巾着袋の細部をじっくり見ている。

「もしかして針の違いかも、俺はこれを使って縫いました。店で買った大きめの針は紐通しとして使いました」

エコバッグから出さなくても良いだろうと、手からソーイングセットを出して2人に見せた。

「こ、これは!なんと美しい針に細い糸!エイト殿!お借りしてもよろしいでしょうか!?明日にはお返しします」

「ええぇ、いいですよ」

「ありがとうございます!エイト殿ズィーガー様失礼します!工房に向かわねば!」

ゴーテンも勢いよく出ていく、一瞬で姿が見えなくなった。

「わーはやーい。無茶はしないで下さいねー」

「はっはっは、こうなってしまっては彼らを止められませんね」

早速コインを巾着袋に入れたズィーガーが服の内ポケットにしまう、詠斗は早速貰い物のエコバッグを収納に戻し、青い色のバッグを肩に掛ける。

「これから布を貰った店に巾着袋を渡したら、魚釣りに行ってきます。また持ってきますね」

「それはそれは楽しみですな」

「では俺も失礼します」

ペコリと頭を下げ応接室を辞する、後に残ったズィーガーが明日は100,000ログコインを多めに用意しようと決めた…。



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