21 作ってみよう
『移動販売?』
「そう、ポップコーンと飲み物とかは?カジノ出来る間の繋ぎに。《ガルディア》でも《トイタナ》でも《クイナト》でも3人位で交代とかで。夕方までとか」
たこ焼きを焼きつつ食べつつ詠斗が提案する、良い提案だと皆乗り気でいる。
「となると、荷車を改装して調理スペースというよりはポップコーンを作るスペース、置く場所と飲み物を提供する台とか…」
「なら、僕に任せてくれませんか?今孤児院の外で魔法と数字と文字をモッカさんやナイデルさん達と教えていて余裕がありますし、屋台とかでバイトもしてたので」
「綴さんにお願いしてもいいですか?」
「はい!」
「綴…これを…ニアの魔結晶から改良して作ってみた…魔鉄」
千眼が出して来たのは黒く輝くレンガサイズの石、魔力で伸縮自在固さも変えられる代物、神々に対抗して作った1品。
「カジノのメダルゲームに使おうとした素材…ニアが魔石に魔力を注げば幾らでも出来る…」
「わぁーカッコいい!真っ黒」
「アリスにもあげる…」
「ありがとう!これでカジノの会員カード作ってみるよ!」
「晴海っち、サンキュー」
「千眼さんありがとうございます!」
「綴さん、俺も手伝う!」
「僕もお手伝いします!」
綴と晴海が嬉しそうに受け取る、詠斗と綴も手伝うと乗り気でいる。
「カジノの建物もデザイン決めたし、プールにデカイ厨房に最上階は俺達専用のスタッフルームやVIPルームも作る48階建てのタワーって所でどう?」
『サイコー!』
「任せきりで悪いな」
「へーきへーき」
明日も《ガルディア》の面々を運び、炊き出しを行い明後日は店を休みにして…やる事は多いが今の所は順調といっても差し支えないだろうが問題もすぐに起きるだろうと大河は考えている。
「じゃ、お風呂いこー」
後片付けを行い皆で風呂場へ向かう、まだ起きてもない問題を考えても埒は明かない立ち上がり皆の後に続いた…。
「良い家もらえたなー絵が描きやすーい」
《ガルディア》の懐記から貰った家の1つで、青年と少年の間のいるこの場合は少年と言うべきか、魔力で明るい室内で座って木の板の上に、今日 《トイタナ》の店で働いた給金で買った紙に炭で絵を描いていく。
親兄弟も無く物乞いや荷運びなどで僅かな賃金を稼ぎ、日々の僅かな食料を得る、そんな生活ががらりと変わったのは貧民街の隣に賭博場を作ると言って来た彼らのお陰だった。
「おーいアシュー邪魔するぞー」
ドアを開けて入って来たのは同じ様な年齢の親友サウ、お互い助け合い今日まで生きて来た仲だ。
「俺もここで木彫りして良いか?1人だと寂しいし」
「いいよー」
サウもアシューの向かいの壁に背を預け洗ったボロ布を敷き、持ってきた木彫りの続きを行う。
アシュー綺麗な紙に絵を描くのは生まれて初めてだった、いつもは地面に絵を描くだけすぐに消えてしまう、いつか紙に絵を描くのが夢だった。
それが今叶いほんの本当にほんの細やかな礼として、彼らに贈りたいと思った。
サウは木こりの仕事等で使えない小さな丸太を持って帰っては、小さなナイフで色々彫るのが好きだった、今日は畑で一緒に働いた3匹のタグモールモグラと真っ白なラビィタイタックのおそらくどちらも亜種を彫っている、とても可愛いかったので彫りたくて仕方なかった。
『……』
お互いの無言の彫る音、炭を滑らせる音が心地よく響く。
明日アシューは《トイタナ》の店、サウは畑仕事を行う夜更かしは禁物だった。
切りの良い所と進む手は互いに止まらない、もう少しこの時間が続いていく。
「もうそろそろ、寝ませんか?」
『もう少しー』
ナイルの声にそう返し珍しく詠斗、率、綴と晴海も起きて移動販売の荷車をあーでもこーでもないと魔力を込めながら作っている、車両と台は出来上がり細部を使いやすく、ポップコーンを焼くコンロに飲める水を出す蛇口に排水の先に汚水を消す魔石と、氷が出来る小さい冷凍庫にコップとカップをしまう棚…いっそ収納袋を用意してまおうかと話しもある。
千眼とニアも魔鉄と1つ渡した神鋼でメダルゲームの筐体をあーでもこーでもないと作り、魔鉄を伸ばし枠を作り鉱物ダンジョンのドロップ品をふんだんに惜しむ事無く贅沢につかう。
ナイルがラウラスの方を見れぱ、千眼からメガネを貰って熱心に異世界の料理本を読んでいた。
「外観はこれで…自動ドアより自動扉にして、エスカレーターとエレベーターで今の所は2階とラウンジとプールか稼働するのは…」
「大厨房には屋敷の厨房の3倍位にして、詠斗っちが言ってた工場もそのうち稼働出来るように」
「店…商業フロアという物も作るとして、この神鋼は階数が自由自在なのでこの位でまずは稼働をしてみたら良いかと」
大河程の身長程のカジノのおおよその外観を造り上げ、ドールハウスのように中央から開く様にして内部を弄っていった。
「私も寝ます、おやすみなさい」
『おやすみ~』
既に眠っているチグリスの隣に布団を敷いて眠りに入る、明日は千眼以外皆寝不足かなと思いながらナイルは眠った。




