18 龍皇国の料理人(餃子狂想曲※小豆かもね)
「んー小豆粥って初めて食べましたけど、優しい味」
本日の朝食は小豆粥にだし巻き玉子、梅干しや漬け物や浅漬けなどの副菜多めに大き目に濃いめに味付けされた肉そぼろとギョロリのフレークにギュロリ貝のあっさりとした味付けのステーキと旅館の様なメニューがテーブルに並び、今日は《ガルディア》の人々の移動などのサポートがあるので全員早く起きて朝食を食べている。
「なっちゃん…お汁粉?というものを作りたい」
「んー汁粉ねぇ、白玉粉があるからそっちでも良い?」
「ああ…」
「おしるこ!?うわあーしかも手作りかぁ」
小豆粥をお代わりしていた詠斗が驚く、倉庫仕事の冬の楽しみは自動販売機で汁粉の缶を買って飲む事だった、かじかむ手や身体を芯まで温めてくれた思い出の1品、まさかここで食べられる日が来るとはありがとう神様達(どういたしましてby神様達)
「おはようございます、今日はこの後の皆の移動とかで忙しいから、気合いを入れて旅館のような朝食に朝風呂まで行っちゃいました」
「俺は《ガルディア》の人たちの移動と落ち着いたら収納袋の続きーテトラさんの所へ行くよー」」
「わかった、俺も一段落済んだら屋敷の1階部分の最終確認をして、2階の一部を頼む」
「俺はここでカジノの設計と今日の夜はーたこ焼きにする?たこ無いから具は適当に入れるけどーお好み焼きもやる?」
『たこ焼き!?お好み焼き!?』
ガタガタ一同一斉に立ち上がる、ナイル達は首を傾げるが詠斗達の驚きようですごい物なのかだけは分かった。
『きゅ!』
「ん?たこみたいなやつなら湖にいるから獲ってくる?たこ知ってんの?図鑑で見た?美味いんだ、ならよろしくー」
ぽんと懐記の足元を叩いてたこを獲りに行くと告げたきゅうがふーと一緒に悠々と森の中に入って行くのと引き換えに、
ニジェルガが少し困った顔で1人連れてやって来た。
「どもー異界人の方々お会い出来て光栄っすー俺を弟子にして下さい!!」
『え?弟子?』
『ラウラス?』
ブルーベリーのような紫色の髪と瞳の青年が深々とニジェルガの隣で頭を下げる、弟子とは?と思いつつチグリスとナイルの知り合いのようで立ち話もなんだからと懐記が朝食を食べれば?と用意し他は千眼がお茶を用意、詠斗達は懐記とナイルに任せ《ガルディア》に向かった。
「んー!…このだし巻き玉子というのも複雑な味がして美味い!」
「うむ…この粥の甘味と他の副菜がとても合うな」
ラウラスも箸の使い方を覚えスムーズに食べている、何度も何度も噛みしめては感動しての繰り返し完食するのに大分時間が掛かった。
「昨夜、皇城の調理場で焼こうとしたのを見られてな…」
「そう!そうなんすよ!すごい美味しそうで1つ陛下から頂いたらそりゃあもう!美味しくて、こんな美味ものがこの世にあるのかって感動して…弟子にして下さい!」
「懐記…このように昨夜からずっとまとわりついて離れず困ったので仕方なく連れて来た…」
「ふぅん、弟子とかは興味ないけど飯一緒に作るのは別にいいけど?」
「ラウラス…陛下を困らせないで下さいよ」
「分かりました!心の中で思います!よろしくお願いします!ナイルーこんな美味いのずっと食べてたんだろー?いいじゃんー。俺たちドラゴンて料理人とか言われても主に食材調達とかだしー料理も焼く位しかしないしー」
「へえ、そうなの」
「そうなんすよ!素材を食べるのが普通みたいな、肉とかも生でもいいし!もっとこう味や料理の幅を利かせたい!そして餃子を是非!生まれて800年あんな美味い物食べた事ないです!」
「個体によって食べられる物が異なったりしますから、皇城料理人は食材調達人という意味合いが強いですね」
テーブルに膝を付き顔を乗せ嘆くラウラスを眺める、人手が増えるのも構わないし詠斗達も懐記に任せると言っていたのでまあ、いいかと受け入れる事にした。
「じゃ、よろしくーラウっち」
「よろしく!なっきー!さぁ!餃子の作り方教えてっす!」
「まあ、いいけど。たこ焼きとお好み焼きは材料用意して焼くだけだから、皮作りから」
「懐記さん、すみません。私もラウラスに教えますから、カジノの方を…」
「そのカジノというのは?余も行けるのか」
「あー、大人の遊び場みたいな所。まだ建物作る前だから完成は少し先。会員制招待制だからニジェっちも招待するー」
「そうか、それは楽しみだ。余はが公務があるから戻るとする。ラウラス…荷にならぬように…」
「んー」
「はい!陛下!美味しい餃子を極めます!」
「陛下、またお待ちしています」
「ああ…」
転移札を使いナイル達に見送られ畑を後にする、ワクワクとした目で懐記を見つめるラウラスに餃子の作り方から教える事にした。
「《クイトナ》の店へ行く10名と子供達は俺とラジカが連れて行く。転移札は1人まず10枚だ配る」
「《エットナ》に向かう7人の方々は僕と晴海君で連れて行きますよー転移札も配りますよ」
「《クイトナ》の《ズィーガー商会》に行く10名の皆さんは僕とチグリスさんが連れて行きますー転移札も受けとって下さいねー」
「残りの住人は、ここで炊き出しと畑を耕す」
《ガルディア》の貧民街で千眼が渡した金と収納袋をランダに渡し、詠斗、ジラとで炊き出しと畑の先導を行う。
ハル達とラドゥ、オリガに孤児院のお手伝いの子供達も慣れた手つきで食事を準備していく。
「ベルンから貰ったミルクでスープと鉄板焼で沢山肉と野菜を焼いて」
「俺が肉焼くー」
「オッケー、俺がスープと子供達にはパンを沢山作って貰おう」
『はーい』
子供達も小麦粉を混ぜて捏ねていく、これも仕事として給料が支払われる、皆笑顔で一生懸命だった。
貧民街の住人も子供達に教わりながら、自分達の糧を作っていく。
「カジノの上にに食堂とか工場とか作って《ガルディア》で移動販売とかもありかもな。なっちゃんにラインしとこう」
懐記にラインを送り、スープが粗方出来た所でジラに任せ畑の様子を見に行く。
「お、土いい感じ」
「おー詠斗!このタグモールモグラ達すごいな!」
「でしょーうちの自慢の子たちだよ」
ランダ達とラドゥ、オリガ、ハル達が土を耕したので一休みして貰い、今度は詠斗が固有スキル園芸から土を買い込み風魔法で土を混ぜ合わせていく。
「す、すげえな」
ドーナツと温かいお茶飲みながら詠斗の魔法に周囲は感嘆の声を上げる、土を混ぜ合わせてハルたちにトウモロコシ、小豆、小麦と甜菜も追加されたのでその4種類を植える。
「これを植えたら今日は終わりだから頑張ろー」
『おー』
皆笑って応える、しっかり自分に返ってくるのが分かれば意欲は湧き続ける。
「小豆…もう出来た…すごい」
小豆がもう育ちきり大河の本(父親の趣味)で見た通りになっていた、最初は手で小豆を取り出し艶々と光る粒を眺め顔が綻ぶ、残りは風魔法で収穫し苗は全て抜いてきゅうにあげる事にし、また種を植えておく本で仕入れた知識をまるっと無視した無茶苦茶な成長速度だが千眼の綺麗な笑みが止まらない。
「ふふ…おしるこ…おしるこ…あんぱん…小豆トースト…ふふ」
食べたいものは沢山あると言うことは小豆が沢山必要という事だ、益々笑みが止まらない千眼だった…。




