20 いきたいのー
「おはようございますー」
「おはよう」
「ん…」
昨夜は鉄板焼きパーティーを盛大に開き、モギのミルクを飲んだり、カルに道具の依頼をかけ、テトラにベルンの服を作って貰ったりと賑やかで騒々しい挙げ句、我慢しきれない神々からラインで催促が来て急遽ドーナツを揚げ、アイスクリームまで作って供えた(見返りに期待)そんな夜の翌朝、起きればいつものチグリスと大河とナイル、千眼というメンバーだけテント内いる状況だった。
「チグリス、カタンもお店に行っています。向こうに着いたらお願いしますね」
「おい…」
「どうしても行くと聞かないので、ベルンさんの荷車から離れないと約束しましたし。もしどこかへ行って認識出来なくてもスマホがあるか大丈夫ですよ」
「ああ…はぐれても場所はすぐ分かる…」
「……」
「詠斗くん達もいるんだ、心配する必要はないだろう」
「…心配なんかしてない」
「そうか」
目玉焼きに腸詰めをパンに挟んだもの、昨日の残りのドーナツと唐揚げにサラダとスープ果物が並びチグリスが平らげる、大河もすぐに食べ終わり店へと向かう。
「お昼用意するので取りに来て下さいね」
「ああ、いつも悪いな」
「いえ、こういうお手伝いしか出来ないので…」
「美味しい昼食を用意する」
「そうか、助かる。チグリス行くぞ」
「ん…」
時間は遡りカタンの家にベルンを迎えに来た、率、綴、ジラ、ナイル、千眼一行。
詠斗とカイネとバルタルは先に店に行き、開店準備をするとの事なので別行動となった。
「ベルン、無理せず休んでてもいいのに。昨日もモギの事かが気になるからカタンの家で寝るって…やっぱり遠慮しているんでしょうか…」
「落ち着かないんだろ、働いていた方が気が紛れる時もあるし、子供だけの方が良い場合もある」
「そうですね、カタン、ベルンおはようございます。入りま…」
「やだーやだーカタンもいくー」
「カタン、わがままダメだよー。カタンはここから出るとみみんなカタンの事分からなくなるって」
「いやーいやーカタンもいくぅー」
中には4頭のモギ達が心配そうにカタンとベルンのやり取りを見ている、泣くカタンを困った顔でベルンが宥めていた。「おはようございます、どうしたんですか?2人とも」
「うわぁん、ちゅぢゅりーカタンもベルンといくー」
綴の姿を確認したカタンが泣きながら綴の足にしがみつく、綴が抱っこして落ち着かせた。
「カタン、わがままは駄目ですよ。ベルンさんが困ってます」
「ナイーカタンもいきたいのーいいこにするーりちゅージラぁーおねがぁいー」
「え、えーどうしますか?」
「んー、大河君か詠斗君に聞いてみますか?」
「ここは俺が…カタンお前もドラゴンだな。ドラゴンは約束は守る義理堅い存在だ。お前もドラゴンなら約束は絶対守るな?」
「あい!カタンまもります!」
「なら、いんじゃないか?1回いきゃ気が済むだろ。ベルンの荷車から出ないように、俺達の側でミルクを売れば良い」
「そうですね、カタン。少し魔力の制御の練習もして下さい。後、寒がりですから掛け布も持って行って下さいね。詠斗さんには連絡しておきますから」
「スマホは必ず持っておくといい…はぐれても場所は分かる…」
「あい!」
ジラの説得と約束する姿を見てナイルが了承する、外ではナイデルやアルケール達が事の成り行きを見守っていた。
「おはよん、話しはついたようだねぇ。はい、ベルンの服と制服。後はカタンのマントね」
「あったかいーありがとーテトラー」
「マントですか…準備良いですね?」
「たまたまたま作ってただけー」
「カタン、俺の荷車から出ちゃダメだよ」
「うんー」
「では、行きましょう」
「ベルンくんは、荷車とモギは4頭でいいかな?」
「はい!」
「行ってきまーす」
『いってらっしゃあーい』
「詠斗さん、すみません遅くなりました」
「遅くないよーでも…」
「結構並んでますね」
「そう、もう始めようか。ベルンとカタンも……あ、本当に認識しづらいね、宜しく。幾らで売る?」
「えと、200ログで…今までもその金額だったので…」
「安いと思います、ベルン君300ログにしませんか?」
「え?売れるかなぁ」
「売れるよー美味しいもの!」
「モギーのミルクおいしいよー」
綴に言われ、詠斗やカタンに後押しされ照れながらコクンと頷いた。
「荷車はポップコーンの隣な」
「水を張った桶と乾いた桶を荷車に置くから飲み終わったコップと乾いたコップを入れるのに使ってね、布はこれね」
「あ、ありがとうございます」
「ますー」
「2階の更衣室と皆さんに紹介しますからこっちへ」
「はい!」
「カタンは荷車にね」
綴と一緒に裏口から2階へ向かう、カタンの気配は薄いし姿も見えたり見えなかったりはするが声は聞こえるのでなんとかなるだろう。
「うん!良く似合う!」
「カッコいいですよ」
「後で写真を撮りましょー」
「へへ」
「ベルンかっこいぃ」
「カタン?」
「カタンは荷車にいるよ、大丈夫」
ベルンが着替え終わり皆に見せる、カタンも荷車から見ているようでパチパチ手をたたく音が聞こえた。
「それでは店開けるよー」
「今日は間に合ったな」
「ん…」
大河とチグリスも合流して店が開店した、昨日よりも客は来て大忙し、モギのミルクも列が直ぐに出来て繁盛している。
モギを交代交代でミルクを絞り、返って来たコップを荷車の桶に入れると、カタンが率に教えて貰いながら一生懸命泡(泡だけしか見えない)まみれになり洗って拭いてくれていた。
「ミルク、美味しいわー」
「おかわりしよう」
「明日もやるの?」
「ママ~モギ可愛いね!」
嬉しい声が聞こえる、汗をかきながらモギのミルクを絞りコップを渡しお金を貰う、まだまだ列は切れない、こんなに客が並んでくれたのは始めてだった。
「ベルンーカタンまだまだコップあらうよー」
「ありがとーカタン」
率が水を入れ替えてくれ、返ってくるコップを洗う姿が見えないのが残念だなとカタンは思った…。




