対人戦と国家組織
「ヒカリ!俺達もやるぞ。」
「うん!」
俺達は武器を抜いて冒険者と対峙する。初めての対人戦に緊張感が拭えないな。
「ぶっ殺してやる!」
気絶している男一人をおいて三人の冒険者が迫ってくる。先頭の冒険者が剣を抜き俺に切りかかってきたが、俺は軽く受け止めた。
「っ何!?」
「お前の剣は軽いな。」
動きも遅いし大した事ないな。これなら俺達一人でも問題なく倒すことができるだろう。
「ヒカリ、一人は任せていいか?」
「任せてよ!」
ヒカリに一人を任せ、今度はこっちから切りかかった。男は剣を受け止めようとしたが受けきれずに吹っ飛んだ。
「グッ、痛えなんて力だ。」
「やりやがったな!」
もう一人の槍を持つ男は仲間が飛ばされて激怒しているが、
「遅い!」
「なに!?」
俺はその一瞬で男の後ろに回り込み、背中を切った。一応、加減はしたから重症ではないはずだ。俺は先程ふっ飛ばした男に向かって歩く。
「くっ来るな!あっち行きやがれ。」
男は俺の実力に恐れたのか、座ったままでやたらめったらに剣を振り回している。
「先に剣を抜いたのはお前達だろ。俺はそういう奴らに容赦はしない。」
「クソガキが!調子に乗っ!?グハッ!」
俺は男が喋ろうとするのをよそに蹴りを顔面に放ち、気絶させた。
「そっちは終わったか?」
「うん、バッチリ!」
どうやらヒカリのほうが早く片付いたようだ。
「初戦だが、問題はなかったな!」
「やっぱり私達って最強だね!」
俺達は浮かれながらも勝利を喜んでいた。
「君達ッ!何してる!」
すると、警察官が駆けつけた。どうやら誰かが通報したようだ。
「これは四人とも気絶してる・・・君達、事情を説明してもらえるかな。」
俺達は暫くの間事の顛末を説明した。
「君達の事情はわかった。目撃した人とも証言は一致しているし、もう行っていいよ。」
「ありがとうございます。」
俺達はお礼をいい帰ることにした。
「俺達は悪くねえ、あいつ等のせいだろうが!」
どうやら目が覚めたらしい。
「君っ暴れるのをやめなさい!」
「うるせえ!」
先ほど剣を所持していた男は警察を振り切りこちらに殴りかかってきた。
「またかよっ!」
俺が迎え撃つため構えた時、
「グハッ」
警察官が冒険者の横から顔面を殴った。もしかしたら俺が殴ったときよりダメージが大きいんじゃないかと思う。
「うちの部下が抑えきれなくて悪かったね。あの程度の連中も抑えられないなんて私の教育もまだまだだったよ。」
止めてくれたのは女性警察官だった。それにしても彼女強いな。俺とヒカリならば問題なく彼女に勝てるだろうが、そこらの冒険者より全然強い。
「止めてくれてありがとうございます。強いですね!」
「気にすることはない。我々警察は君たち同様、ダンジョンで鍛えているからね。」
冒険者ギルドが創設される以前から懸念されていたこと、それはダンジョンで力を持つようになった者がその力で治安を乱すことだ。そのため警察や自衛隊などの組織は迅速にダンジョンの対策本部を設立し、優先的にダンジョン攻略を行うなど。組織の抜本的な強化に乗り出した。そのため警察官や自衛官は冒険者に比べ強いものが多いのだ。まあ、一般人にダンジョンが開放されたので、これから冒険者の平均レベルは上がっていくだろう。
「あの人結構強いね。ダンジョン攻略どれくらいまで進んでるのかな?」
「そういう情報は秘匿されているから詳しくはわからないが、冒険者の最高到達階層よりは確実に進んでるだろうな。」
今回の事でまだまだ俺達の知らない強者がいることを再認識できた。警察官が強さを持っていることは治安の維持にはいいことだが。
「でも少し心配だよ。きっと組織の中には悪い組織もあるし、仮に組織全体は良くてもその中に悪い人がいるかも知れないしね。」
「そうだな。だから俺達はもっと強くなる必要がある。たとえ誰でもどんな組織でも個人でも、自分たちの力でねじ伏せることができる力が必要だ。」




