武器購入
「シン、こんなのはどう!」
ヒカリは意気揚々と武器を選んでいる。いつも元気だが、今日は一段と上機嫌だな。
「いやヒカリはハンマーなんて使わないじゃん・・・」
ヒカリは自分の背丈ほどのハンマーを笑顔で見せてきた。よく持てたなそれ・・・
「本当は何が目当てなんだ?」
「うーん、私はやっぱり剣がいいかな。」
ヒカリはやはり使い慣れた剣がいいようだ。ヒカリの剣技を鑑みて、俺もそれに賛成だ。
「お客様武器をお探しですか?」
どうやら武器選びに手こずっている俺達を見て、店員さんが声をかけてくれたようだ。
「はい。彼女に合う剣を探しているんですが、なにかおすすめの商品はありますか?」
「そうですね・・・失礼ですが、お客様が普段どのように戦闘をしているか聞かせていただいてもよろしいですか?」
確かに戦闘スタイルによって、どんな武器がヒカリにあっているのか判断できるかもしれない。ヒカリは今のところ魔法が使えないため、ポジションは前衛になるだろう。そして彼女は相手の攻撃を時には受け止め、時には交わすといったオールラウンダーなスタイルだ。俺もオールラウンダーであるが、少しタイプが違う。
「なるほど。なら、こちらはどうでしょうか。」
そう言って店員さんが見せてきたものは一本の長剣だった。幅は細く、取り回しやすく作られている。
「これはすごい・・・」
手に持った瞬間、これが相当な業物であるということがわかる。
「天野匠斗?」
俺はふと、商品付近に置かれた人名が気になった。この名前どっかで見た気がするんだよな。
「この剣を打った方ですよ。鍛冶師としてはかなり若い方で注目のルーキーなんだとか、ちょうどお客様方と同じくらいの年齢の方らしいですよ。」
すごいな、俺と近い年で期待されるほどの活躍をしている人がいるなんて。
「この名前!?さっきシンが買った防具にもあった!」
「!?」
ヒカリのお陰でやっと思い出した。まさかこの人が俺が買った防具の作成者だったとは。
「なんとなくだがこの人が作った防具なら信用できる気がするんだよな。ヒカリはどうする?」
「うん、手に馴染んですごく良い・・・決めたこれにする!」
ヒカリもこれが気に入ったようで、即購入を決めた。なんだかこの鍛冶師とは不思議な縁で結ばれたような気がした。
「だいぶ買っちゃったね〜」
「ああ、そろそろ帰るか。」
その後も俺達はダンジョン攻略に役立つ物資から私生活品ま多くの買い物をした。そのせいでもう日も落ちる頃だ。
「私、明日からの攻略が楽しみになってきた!」
「はしゃいでないで前見て歩けよ〜」
やはり女子というものは買い物好きな生き物なのだろうかと思っていると、
「っ!ごめんなさい。」
ヒカリが前を歩く人と衝突してしまった。だから注意したのに。
「痛えなー前見て歩けよ!」
前を見ると冒険者の男四人組だった。
「ごめんなさい。初めてのテセウスに舞い上がってしまって。」
俺ももっと気をつけていればと思い、彼女と一緒に謝ったが、
「何だガキじゃねえか。」
「なんでこんなとこにガキがいんだよ。」
「でもそっちの彼女はかわいいじゃん。ちょっと俺達と遊ぼうぜ。」
どうやら厄介な奴らに接触してしまったらしい。面倒なことになった。
「やめてください!」
「良いからこっち来いよ、ぶん殴るぞ!」
そう言いながら男がヒカリの腕を無理矢理に掴んだ。
「おい、いい加減にしろよ!手を離せ。」
シンはその男の手を掴み、睨みつけてそう言った。
「何だお前、ガキが俺達冒険者に逆らってただで済むと思ってんのか!」
そう言いながら男は拳を振りかざしてきた。
「お前ら如きにやられるわけねえだろ!」
俺は首捻り拳を避けると今度はこちらが拳でカウンターを顔面に放った。
「グハッ」
男は後ろに吹っ飛び、気を失った。
「ただじゃ置かねえ。やるぞお前ら!」
そう言い、仲間の冒険者はそれぞれの武器を抜いた。
どうやらこれが初の対人戦になりそうだ。




