新装備
「よし、今日はこれくらいで帰ろうか!」
5回層でしばらくモンスターを狩っていた俺達は、そろそろ引き上げることにした。
「さすが10階層到達者だね・・・すごすぎる。」
今日何度目の褒め言葉だろうか、ヒカリは俺と出会ってから事あるごとに褒めてくる。まあ、褒められるのはまんざらでもないが、
「来週には10階層以降に進出する予定だからな、今週はヒカリをみっちり鍛えるぞ!」
「私シンを見てると自信なくなってきたよ。」
そんな会話をしながら俺達は帰路についた。
数日が過ぎ、俺達は10階層まで到達していた。明日からはいよいよ11階層に進出する。
「シン、昨日もう10階層まで到達しちゃったし今日は何をするの?」
「今日は明日に備えて防具やヒカリ用の武器を調達をするぞ!」
そう言うとヒカリはワクワクした表情を見せた。ヒカリにもそういう一面があるんだなと少し微笑ましい。
「たしかに私の武器もこの間の戦闘でボロボロだし、新しいのが欲しいと思ってたんだ。」
ダンジョンができてしばらくたった今、ダンジョンによって社会全体が大きく動き出していた。
その代表例が武器や防具、アイテムなどを売る会社が設立され始めたことだ。鍛冶のスキル持ちやその他の生産スキル持ちの増加に伴いダンジョン攻略に必要な体制が現在整いつつあるのだ。ダンジョン出現とともに世界のビジネスは大きく変化していっている。あるコメンテーターがネットで「これはダンジョン革命だ」とか言っていたが、それも大げさではない。
「着いたぞ、ここだ!」
「うわー!大きい!」
そこは今、冒険者を支え、国内でも有数のメーカー「テセウス」だった。
「いくら支部とはいえテセウスだからな、ここまで建物がデカいのも頷ける。」
「ここテセウスなの!?すごい大手じゃん!」
ここはテセウスの本店ではないが、それでもとても大きなビルだ。本部はどれだけデカいんだろうな。
「よし、いつまでも突っ立ってないで中に入るぞ!」
「うん!」
中へ入るとそこは沢山の人で賑わっていた。ここには冒険者だけではなく若い女性や子供など様々な人が訪れている。中央の奥には大きなカウンターがありそこにはズラッと受付のスタッフが並んでいた。
俺達も空いているカウンターに歩いていく。
「すみません、ダンジョン攻略に必要な道具を買いに来たんですけど。」
「冒険者の方ですか?身分証の提示をお願いします。」
受付では若い女性が笑顔で対応してくれる。ちなみに武器を購入するためには身分証の提示が必ず必要だ。武器の悪用を防ぐための対策だ。俺とヒカリはギルドカードを出し、それを見せる。
「はい、確認ができました。どのような用具をお探しですか?」
「ここにはどんな物が売ってるんですか?」
お姉さんの問に間髪入れずにヒカリが質問をした。どうやら相当興味津々らしい。
「ここには冒険者の方に必要な武器や防具はもちろん、日用品などの服や家具まで幅広く扱っています。他にも1日を快適に過ごしていただくために数々の飲食店などが備わっております。」
それでこんなにも様々な人で賑わっているのか、建物がこんなにも広いのも頷けるな。
「とりあえず防具と武器を売っている場所を教えてほしいんですけど。」
「承知しました。当店では防具は5階から7階、武器の販売場所は9階から11階で販売しております。」
どうやらフロアごとに大まかにジャンル分けをしてあるようだ。分かりやすくて助かるな。
「わかりましたありがとうございます。」
「シン、早く行こ!」
テンション高いな。相当楽しみにしているようだ。
防具の販売フロアに着き、早速物色し始める。
「うーん、どれにしようかな・・・シンはなんかいいもの見つけた?」
「今のところはまだだな。」
さすがテセウスなだけあり、商品の品揃えも豊富でどれを買うべきか迷ってしまう。
「ちょっと趣向を変えて新人さんが作った防具を見に行ってみない?」
「いいな!」
ここではまだ鍛冶師として一人前になる前の者が作った防具も売られている。中には掘り出し物もあるらしく興味を注がれる。
「たくさんあるね!いい物もありそう」
しばらく掘り出し物を目当てに防具を鑑定しながら回っていると、
「?これは・・・」
そこにあったのは革がベースで作られた鎧があった。その鎧のランクはなんとD+。
今まで見た防具で一番の品だった。まさかこんな人材がいるとは、良い掘り出し物が見つかったなと思う。
俺は迷わずこの防具を購入することに決めた。
「ヒカリは気に入った物あったか?」
「うん!こっちもなかなか良いものが見つかったよ!」
ヒカリもどうやらDランクの防具が見つかったらしい。俺が見つけたD+の防具と比べると劣って見えてしまうが、これもなかなかの防具だ。
「防具も買ったし、次はヒカリの武器だな。」
「どんな物があるか楽しみだね。」




