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お題シリーズ3

鋼メンタル

作者: リィズ・ブランディシュカ



 俺は毎日の様に罵声をあびせられている人間だ。


「なんて奴だ!」


「卑劣漢」


「人間じゃないわ!」


 これは、必要悪、という奴だ。


 様々な災害でボロボロになった国を立て直すために、民衆の心を一つにまとめあげる必要があった。


 だから、俺は悪の側を演じて、国を影から支える人間となっているのだった。


 どんなに罵詈雑言をあびせられても、俺の心は折れ曲がらないっ!


「国民のお金をつかいこむなんて」


「罪を認めないなんて恥知らずな奴だ!」


「皆にあやまれ!」


 うむ。


 今日も皆の心は一つだな。


 敵が明確になった時の我が団結力はすさまじい。


 今まで起きた災害は自然災害や魔力災害が主だったから、ぶつけるべき怒りの場所がなかった。


 しかし違う。


 ここにっ!


 確かなっ!


 悪が、あるっ!!


 だから、思う存分怒りをぶつけるといいっ!


 俺という悪が全部うけとめてみせようっ!


 ……演技だが。


「お疲れ様です、しかしこうも毎日国民からあんなふうに言われていて嫌にならないんですか?」


「いいやっ、まったく!」


「そっ、そうですか。大した精神力ですね」


「俺は普通の人間より心が鍛えらえているのだろう。だから適材適所と言うやつだ。弱い人の心は俺の様な人間が守るべきだ。悪を演じるのが俺で幸いだったな! がはは!」


 今、俺は政治家というものをやっているが、子供の頃は厳しい祖父から様々な稽古をうけた。


 剣の道場を営んでいたから、何か俺がよく何か悪さをした時は鬼のような形相で竹刀を持って、きつい一太刀を見舞って来たものだ。


 あれは、今の時代では体罰になってしまうようなものだった。


 時々竹刀での一太刀ではなく、魔法での一撃もくらわされたしな。


 実際気の弱いものは、一週間も通えなかったくらいだ。


 うん? 思い出したら、昔の時代でも危ないものがいくつかあったような……。


 むむむ、忘れておこう。


 しかし、あれがあったから今の俺がある。


 この鋼の精神がある。


 そして、今のこの国の平穏があるのが幸いだ。


 

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