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7話 投擲強化

『人間を捕食しました。スキル:【料理】を盗みました。レベルが4に上がりました。スキル:【飛行lv1】を得ました。貴方に神の御加護がありますように』



「「ぎぎゃああああ!!」」



 焦りながらも女性の体をガンガン飲み込んで食べ切ると、既に先頭の3匹がこん棒を振り上げて、攻撃を繰り出そうとしていた。

 ヤバイと思いつつも俺は避ける事なく出来るだけ自分の体全体が当たるように横向きで、ゴブリン達に突進する。


 決して3匹の攻撃を避ける自信がなかったわけじゃなくて……そう、レベルが上がった後の力を確かめてみたかったからの判断さっ!


 ――ドンッ!


「「ぎっ!?」」


 まさかこの状況下で攻撃をしてくるとは思ってなかったのだろう、ゴブリン達は驚いた表情を見せながら俺の突進をもろに受けて軽くぶっ飛んでいった。

 そんなゴブリン達はそのまま後のゴブリン達にぶつかりそれを転ばせると、仲間が俺に近づく為に通るはずだったであろう進路を防いだ。


 これなら1度にげられそうだが……3匹のゴブリンを簡単に吹き飛ばすこの力ならもう攻めてしまってもいいかもしれない。

 いや、ここで攻めなければこの巣の守りは厳重になるばかり……ここは攻めなければいけない場面だ!


「がぁ……」


 俺は口を縦に大きく開くと、喉に力を込めた。

 熱いものがせり上がり、今にも吐き出したい気分になるがもう少し我慢。

 こいつら全員を焼き尽くすつもりで、全力のファイアブレスをくれてやる。


「――ぎきい!」


 ようやく先頭のゴブリンが立ち上がろうとした瞬間、通せんぼうを食らって四苦八苦していたゴブリンの内の1匹が仲間を踏み台にして飛んできた。

 それに続くように他のゴブリンも仲間を踏み台にする。

 助けてやるとかじゃなくて踏み台にしてしまう辺りがなんともゴブリンらしい。


 もしもう少し早くその行動に移れていたなら、俺をタコ殴りにできていたかもしれないが……残念、炎はもう最大まで溜まってるんだよ。


 ――ぼうっ!!


 放たれた【ファイアブレスlv1】は以前よりも大きな音で、しかも火の形は丸い状態。

 松明の火の様に持続するわけではなく火の球として完全に独立し、真っ直ぐとゴブリン達へと向かっていく。


 溜めの時間によってファイアブレスはある程度威力更には形まで変えれるのか……いろんな塩梅でファイアブレスのそういった変化を研究する必要がありそうだ。


「「ぎぎゃっ!」」


 火の球となったファイアブレスはゴブリンに当たると炸裂し、拡散された火が他のゴブリンにも行き渡る。


 溜めた割に長い時間伸びるように火が出てくれなかったのは投擲が苦手な俺にとってまずいかなと思ったが、この状況なら威力も格段に高いこっちで正解みたいだ。


 ゴブリン達の阿鼻叫喚な光景は壮絶。

 火をどうにかしようと慌てふためき動く度に火は強くなる。


 俺も巻き込まれない様にちょっと距離をお――


「――ぎきいいいっ!」


 ゴブリン達から距離をおこうとすると、1匹とてつもない速さで火を掻い潜ってきた。

 しかしそのゴブリンは、錯乱して自分がその輪から外れた事に気付かずに水のある川ではなく、俺の元に駆け寄ってきた。


 思えば全身に回った火を一瞬で消せる程深さのあるところは少し離れているが、どのゴブリンも直ぐに川に向かわないのは何故だ?ただ単に頭が悪いだけか?

 ふと疑問が頭を過ったが今はそれどころじゃないな。

 距離がもう近い。横に避けるか?いや、どうせだったら……上っ!


 脚に力を込めて俺は大きく飛び上がった。

 だが、それだけではスキル:【飛行lv1】は使えないのか、これだとただジャンプしただけで浮遊感がまるでない。

 そこで俺はダメ元で翼を広げ羽たつかせてみた。

 すると、鳥のように飛べるわけではないが中に浮く事が出来た。

 更に羽たつかせるとかなり高度を上げられ、見晴らしは最高。

 疲労が大きくて今のところなかなか使い所に困りそうではあるけど、ゴブリンを難なく避ける事は出来たな。


 そうだ、洞窟から出てくるゴブリン或いはエリートゴブリンを空中からのファイアブレスで焼き払えば効率がい――


 ――ビュッ!


「がああああああああっ!」


 空中でそんな作戦を考えているとどこからか飛んできた何かが俺の翼を貫いた。


 いってぇ!――これは……槍?


 激痛に耐えながら貫かれた翼を見ると、そこにはゴブリンの物とは到底思えない細いが鉄で作られた槍が……。

 さっきまでの余裕ムードが嘘みたいに劣勢に……。


 一体誰がこんなもの……。

 下っ端じゃもうどうにもならないとみて、エリートが出てきたか?

だけど前にエリートを見た時はこんな武器を持ってる様子はなかっ――


「がぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃっ!」


 ……あいつか。


 俺は翼に傷を負った事で飛んでいられなくなり落下。

 急激に変わる景色の中、目に映ったのは滝の下付近の川で人間の女性を抱き抱えながら下品な声で高らかに笑う1匹のゴブリン。


 身長は通常のゴブリンの5倍くらい。

 筋肉隆々で、腕の太さは俺の胴回り以上。


 確かにあの筋肉ならここまでこの重い鉄の槍を投げられるだろうが、的確に翼を狙うなんて……コントロールとんでもないって。

 まさかスキルで補正が掛かってるのか?


『【鑑定lv2】』


-------------------------------------

種族:ゴブリンキング

状態:発情、興奮、狂化

スキル:投擲強化、性欲筋力リンク、ビルドアップ、全種族対応種ゴブリン、カリスマ、ゴブリントーク、声警鐘

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 やっぱりそれっぽいスキル持ってるよ。

 それどころか6個もスキル持ってるモンスターなんて初めて見た。

 名前もゴブリンキングなんていう大層な冠がついてるし……こいつがあの冒険者をやったに違いない。


 くそ、こんなのを相手にするのに手負いの状態はまずいぞ……


 ――どす


「あ、がっ!」


 鑑定しながら勢い良く地面にぶつかると俺は自分の口でゆっくりと翼から槍を引き抜いた。

 激痛で体が痺れ、血はポタポタと地面に落ち、傷の深さを物語る。


 うっ。眠気が……意識を保っているだけでもきついな。

 なんか使えるスキルがなかったっけ……


『【鑑定lv2】』


-------------------------------------

種族:ベビードラゴン

状態:流血【大】、自然痺れ【大】

スキル:鑑定lv2、ファイアブレスlv1、活力強化、掃除、裁縫、カリスマ、飛行lv1、洗浄、料理、火耐性【大】

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 回復スキルは活力強化くらいで使えそうなのは……ないな。

 傷が塞がるまで追撃を受けないようにするしか――


「「きぎぁ……」」


 走って逃げるのも難しい状態。

 逃げるに逃げれない状況で冷や汗を流していると、火の中から不穏な声が漏れ聞こえた。


 通常のゴブリンはあらかた燃えた。

 さっき見た中に声を出せるような個体はもういないはず。

 っていう事は……。


-------------------------------------

種族:エリートゴブリン

状態:興奮、発情

スキル:声警鐘、性欲筋力リンク、全種族対応種ゴブリン、火耐性【小】

-------------------------------------

種族:エリートゴブリン

状態:興奮、発情

スキル:声警鐘、性欲筋力リンク、全種族対応種ゴブリン、 火耐性【小】

-------------------------------------


 火の中からキングと同じ様に人間の女性を抱えたエリートゴブリンが2匹。

……ヤバイな。早すぎるけど転生人生終わったかも。

お読みいただきありがとうございます。

面白いと思っていただけましたらブックマーク・評価を何卒宜しくお願い致します。

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