穴
晴れた日に想う。
懐かしの奔走に浸る日々。
遮るものはなく、窘めるものもない。
汚れた手は、死に物狂いに近づいた証明。
砂と泥が織り成す逸脱への迷彩。
立ち止まり、晴れた日に想う。
かけがえのない足跡を捨てたのは誰。
呼び止めるものはなく、振り返るものもない。
切り揃えた爪先は、約束を破らない誓い。
紙撚と暦で紡ぐ無気力への服従。
座りこみ、晴れた日に想う。
別れすら告げられなかったのはどうして?
再会を守れなかったのはどうして?
虚を見つめ、晴れた日に想う。
早熟の春には枯れ果てたやるせなさが敗北を知らせるだろう。
衰弱の秋には熟れすぎた後ろめたさが失意を教えるだろう。
懐かしの孤独に弄ばれる日々。
影を見つめ、晴れた日に想う。
太陽に穿たれた穴。
陽を避ける者が逃れる場所。
足元に穿たれた穴に、飛び込む合図を待っている。