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第6話 初日の夕食と交際

「やっと課題が終わった」


「「「「お疲れ〜」」」」


途中で様々な話をしたり花達を慰めたり花達に囲まれたりと普段より集中できなかったが、ようやく課題が終わった。


「「それじゃあ私達は夕飯を作るわ」」


「僕も手伝ったほうがいい?」


「龍生って普段から料理してるの?」


「まともに何か作るのは土日ぐらいかな。さっきも言ったけど平日は朝は食パンを焼くだけだし、夜は麺を茹でることが多いから包丁を使うのはネギを切るぐらいだしな」


「その割には調味料は色々あるのね。基本の調味料である砂糖と塩胡椒と醤油はむしろ無いと困るような物だけど」

「冷蔵庫の中を見たらマヨネーズにケチャップ、麺つゆ、焼き肉のタレが開いているし」

「他にも中華調味料やお好み焼きソースが置かれているし。冷蔵庫の中にお好み焼き粉もあったし天かすも大量にあるってことは土日はよくお好み焼きを作るの?」


「そうでもないな。夏は暑くてラーメンを食べる気にあまりならなかったからうどんやそばを食べてたからな。それでたくさん買ったから天かすが大量にあるだけ。お好み焼きは月に2回程度しか作ってないな。むしろ粉を使い切れなくて困ってる。花達が昼ご飯作る時に使っても良かったけど…」


「キャベツ無いのに?卵はあったけど野菜がネギともやしぐらいしか無かったからね。キャベツがあれば作ってたと思う」


「やっぱりキャベツがないとお好み焼き粉は使わない?」


「「「「そりゃそうでしょ!キャベツ入れなきゃお好み焼きにならないよ!むしろキャベツ無しでお好み焼き作ったことあるの?」」」」


「キャベツ無しでお好み焼きを作ったことはないけど」


「「「「やっぱりそうでしょ〜。キャベツ無いのに使っても良いと言われても困るよ」」」」


「ご飯炊くにも中途半端な時に主食代わりとして焼いたことがある。何も入れずに。まあ、味はついてるし、おかずは別に作っていたから」


「「「「それじゃあお好み焼きと呼べないじゃん!」」」」


「まあ、それはそうなんだけど、大量に余ってたからどうかなって」


「明日の昼以降に使うことにするわ。野菜はいろいろ買ってきたしその中にキャベツもあるから」

「「とにかく普段あまり料理しないのだったら私達だけで作るから調味料の位置だけ教えてくれたらいいわ。ここに集まり過ぎても動けなくなるだけだし」」


「分かった」


料理は2人の花達に任せることにした。残り2人の花達は荷物整理をしていた。

邪魔にならないように明日の行く準備とをしていたら料理をしている花に質問された。


「さっきから味噌を探しているんだけどどこにも見当たらないの。どこにあるの?」


「味噌は買ってないから家に無いけど」


「調味料が色々ある割には味噌は買っていないのね。なんで?」


「1人暮らしだと味噌汁を作るよりインスタントの方が楽だし料理に味噌あまり使わないし」


「魚焼く時とか使わないの?」


「基本焼くだけの切り身や開きの系統しか買わないからなあ。焼く時に塩をかけるくらい」


「ってことは土日に手の込んだ料理を作ったことはないと」


「そうだな」


「味噌がないなら汁物どうしようか?これだと味噌汁作れないし」

「インスタントの汁物もそんなに数なかったし」


「中華スープにすれば?中華調味料にスープの場合の分量も書いてあったから中華スープを作るのにも使えるはずだし。作ったこと無いけど」


「そうするわ。卵もあるし。って作ったこと無いならなんでそもそも買ったの?」


「中華スープは作ったこと無いってだけでチャーハンを作ったり野菜炒めを中華の味にしたい時に使っているから」


料理がほぼ完成したところで食器の数の確認をみんなで行った。その結果、僕の家にあった物と花達が持ってきた物を合わせても茶碗と汁椀が1つずつ足りなかったため、深さのあるお皿を2つ茶碗と汁椀代わりに使うことになった。


夕飯が完成し、鍋をテーブルに運び終えたのでみんなで食事を始めようとしたが、龍生を中心としてテーブルの片側に5人が集まる形になっている。


「ちょっと待って、こっちに固まり過ぎだよ。テーブル半分余ってしまっているし」


「「龍生の隣だからと言っても近すぎるよ!」」

「「そっちの方こそなんでそんなに龍生の方に寄ってきてるのよ!テーブルが半分も余ってしまってるのはそっちのせいでしょ!」」


「というより同居するようになってからみんなアプローチ激しすぎない?大胆になったというか」


「「「「アピールしないと他の花に取られるからね!龍生は誰にも渡さない!…って全員そう思ってるの!?」」」」


「だからか…。前までここまでくっついてくることは無かったからどうしたんだろうと思ってた」


「これまではあまり龍生とくっついていたら龍生までいじめの巻き添えを食らいそうだったからあまりこんなことしてこなかったけどその必要も無くなったし」

「女子の中で龍生のことを奪い合うようなライバルもいなかったからこれまでは安心していたけどね」

「まさかこんな形でライバルが3人も出来てしまうとは思わなかったし」

「龍生以外だと付き合うどころかクラスメイトとして扱われる人を探すのも難しいからね…。絶対にこの争いは負けられない」

「「「「それで龍生は私達の中の誰と付き合うの?」」」」


「そんなこと突然言われても決められないよ。花達の見分けも全く付かないし。」


「「「「それじゃあ仮に誰か1人と付き合ったとしても龍生に気付かれないまま自由に入れ替われてしまうじゃん!選ばれなかった3人が協力して選ばれた1人をひたすら邪魔してくるから選ばれる意味が無いよ!」」」」


「それに…、花」


「「「「何?」」」」


「こんなふうに誰かを呼んでも全員反応するしこの中の誰と付き合ったとしてもややこしい事になりそうだしな。この中の誰かと付き合うことはしない」


「「「「…あんた達のせいで龍生と付き合うことができなくなってしまったじゃないの!どうしてくれるの!」」」」


花同士での喧嘩が始まった。


「こんなに騒いでいたら近所の人にバレちゃうよ。このことは隠すんじゃなかったの?」


とりあえず喧嘩を止めようとしたが花達の耳には入らず喧嘩はますます激しくなるばかり。龍生は思わず叫んだ。


「一言も花と付き合えないとは言っていないんだけど!」


「「「「どういうこと?この中の誰と付き合ったとしてもややこしい事になるからこの中の誰とも付き合わないって言ってたじゃない」」」」


良かった。とりあえず喧嘩は止まったようだ。どうにかして花達を落ち着かせないと…。


「さっき、この中の誰かと付き合うことはしないとは言ったけど」


「「「「やっぱりこの中にいる人とは付き合わないってことじゃん」」」」


「そうじゃなくてこの中の誰か1人だけと付き合うことはしないっていう意味で言っていたんだけど」


「「「「ややこしい言い方しないでよ!」」」」


「だって付き合うって普通誰か1人とすることだし、4人の女性と同時に付き合っていたら他の人から4股野郎として冷たい目で見られるだろ。みんな同じ花だからと説明するわけにもいかないし、説明したところでうまく伝わらないと思うし」


「「「「それなら2人きりで出かけて…、って抜け駆けはさせないわよ」」」」


「こうなるから2人きりで出かけるのは難しいし、かといって5人一緒に出かけたら目立ってしまうし」


「それじゃあ、デートは難しいわね。本当はしたいけど」

「一緒に住んでいるんだから会える時間は長いからいいじゃない。遠距離恋愛だと会いたくても会えないよ」

「まあ、両親に伝えた後も一緒に生活できるかどうか分からないからそこは不安だけど。2人暮らしすることには反対だったし」

「だからといって自宅に戻っても、既に誰も住んでいないはずの部屋に生活している人がいるとすぐに見つかってしまいそうだしね」

「となると騒ぎを起こさずに龍生と一緒にいられるようにするには同居を認めてもらうしか無いのかな」


「まあ、それは花の両親と話し合いをしてからでないとなんとも言えないけど。それで花達は僕が4股しててもいいの?」


「「「「4股と言っても全員私なんだけどね。ってことは私達全員と付き合ってくれることでいいのよね」」」」


「もちろん。花達がそれでいいのなら。全員と付き合っていることは誰にも知られないようにするから一緒に出かけたりすることは出来ないけど。ってよく考えたら花が今も生きていることを知られないようにする必要があるからどうせ出来ないか」


「龍生以外に私と付き合ってくれる人は居ないと思うから、独占できなくても仕方ないわ。独占しようとして付き合えない方がダメージが大きいし」

「私達以外には他にライバルが居ないしね。恋愛のライバルが私というのも何だかおかしな話だけど」

「龍生を1人占め出来ないのは残念だけど同じ経験をしてきた人同士だからね。龍生と付き合えない事の悲しさは誰よりも分かるから…。他に私の味方になってくれる人も居ないし…」

「私達以外に浮気するっていうのなら許すつもりは全く無いけど。もししてたら私達全員で問いただすよ」


「それは大丈夫だよ。僕と仲良くしてくれる人さえ居ないし。言ってて悲しくなるけど…」


「何でもかんでも私のせいにしてきたり文句を言ってきたり」

「物をぶつけてきたり階段で突き落としてきたり」

「ノートやプリントを後ろから集める時も私を無視していくから毎回自分で渡しに行かないといけないし」

「そんな状況なのに先生に相談しても聞く耳を持ってくれないし」


「僕の場合、さすがにそんな事はされていないからな…。花達と比べると僕のされていることなんて完全に霞んでしまうし」


「「「「ところでみんなと付き合ってくれると言ってくれていたけど、それってこれから先人数がさらに増えたとしても?」」」」


「…それはしんどいな。お金と精神的な意味で」


「「「「お金は分かるけど精神的にしんどいってどういうことなの!」」」」


「例えばさっきのような喧嘩を数十人でやられたらこっちとしてはたまらないし、今のように同時に言い寄られるのが数十人になったら何も言い返せないよ…。見分けが付かないから全員と平等にっていうのも難しいし…。花がもしクラス中の人から同時に文句を言われたとして言い返せるの?」


「「「「………」」」」


「分かりやすい例えで言ったつもりだったんだけど。分かりにくかった?」


「「「「違うの…。過去のことを思い出して」」」」


過去にいじめられていたからこれが1番分かりやすいと思ったけど、昔のトラウマを思い出させてしまったみたい。


「「「「確かにみんなから言われたら言い返せないわ。味方が誰もいない状況で数十人に言い寄られるのはとてもキツイわ」」」」


「分かってくれてありがとう。こっちも失礼なこと言ってしまっていたみたいだし」


「「「「そのことならもういいわ。4人に増えて戸惑っているのはお互い様だしね」」」」


良かった。すぐに落ち着いてくれたようだ。安心していたらお腹の音が鳴った。


「それより夕飯食べていい?お腹減っているんだけど。それに早く食べないと冷めちゃうし」


「「「「それもそうね」」」」


「いただきます」

「「「「いただきます」」」」


夕食はさっきまでの言い争いが嘘だったかのように和やかな雰囲気となった。


「ごちそうさま」

「「「「ごちそうさま」」」」


次は花の家族への連絡か…。何事もなくいくのだろうかとやっぱり不安になるのであった。

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