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第3話 初日の学校と帰宅後

龍生が普段通り高校へ行き教室の前に行くとクラスメイトの話し声が聞こえてきた。

普段よりも騒がしかったため、どんな話をしているかを聞くと、


「それにしてもホント花って迷惑かけるよね〜」

「今度は何をやらかしたの〜」

「踏切で電車に轢かれたんだって〜」

「死ぬ時まで周りに迷惑かけるってホント最悪よね〜」

「そりゃチームワークも取れないよね〜」


「相川が亡くなったってホントか」

「みたいだぜ。ニュースでやってるの見たから」

「そりゃ清々するな。アイツのせいでクラスの雰囲気悪かったんだから」


「運転手の話によると線路の上で横になってたらしいよ」

「自殺か?でも嫌がらせをされる方じゃなくてする方だったよな」

「自殺じゃないとしたら動けない状況で誰も気づかなかったとか?」

「そうだとしたら天罰でも当たったんだろ。あんなやつだぜ」


「階段から下の人に向かって自分からぶつかってくるやつだぜ。何も考えていないんだろ」

「先生に向かってぶつかっていったこともあったよな。先生からの評価も最悪だし」

「今度は電車に向かってぶつかろうってか。バカの考えることは分からねーぜ」


花が亡くなったことに対して悲しむどころか喜びの声や悪口ばかりしか聞こえてこないので龍生はうんざりしながら教室に入った。入った途端に僕に気づいたクラスメイトが


「ちょっとストップ!!池田君が来てるのよ!」


と言ってそれでピタッと止まったからまだ良かったが。



授業などは昼休みに全校集会が行われたこと以外は普段通りだった。全校集会では黙祷の直前までおしゃべりの声がずっと聞こえてくるのが気になったが、さすがに黙祷の最中におしゃべりする人はいなかった。



部活は僕が花と仲の良かったことを知っている顧問の先生が


「相川が亡くなったばかりで部活に身も入らないだろ。集中を欠いて怪我でもされたら困るから今週は休みな。説明はこっちでしておくから。」


と言ってくれたのでいつもより早く帰ることとなった。



コンビニに寄ってマスクを4枚買ってから花の家に行った。もちろん花に靴と靴下を人数分渡すのが目的なのだが


「どう持ち帰ろうか。袋の置かれている場所は言われてないから分からないし…」


どのように持って帰るか考えていなかった。とりあえずマスクをかばんに入れマスクを入れてた袋に靴下を人数分入れた。段ボール箱がまだ残っているのが見えたのでその中に靴を入れて運ぶことにした。



「ただいま」


「「「「おかえり。マスクと靴と靴下は人数分用意してくれた?」」」」


「ああ。ちゃんと用意したよ。マスクがこれ。靴下がこの袋の中。靴は玄関の箱の中に入ってる」


「それにしても今日は帰るの早かったわね」


「部活の顧問の先生が帰してくれたんだ。花が亡くなったばかりで集中できないだろって」


実際は、もし怪我してしまった時にその責任を問われるのを防ぐためという理由で帰されていた事には気づいていなかった。


「高校は普段通りだった?」


「ああ。いつもと違ったのは昼に全校集会で花が亡くなった事についての話とその黙祷があったぐらいかな。あと教室に入ろうとしたら花の悪口ばかり聞こえてきて嫌になった。階段で花が上からぶつかってきたって言うのは花も被害者なのに」


「「「「そうそう。いつも私が上から押されていたっていうのに。分かってくれるのは龍生だけだよ」」」」


話が終わると花達は靴下を履いてマスクを付けた。


「本当は顔全体を隠したいけどね」

「でも覆面なんてしてたらそっちの方が目立つし、そもそも持ってないし」

「外に出るのも避けたいけどそんなわけにはいかないし…」

「気付かれないようにしないといけないからね…。私達はすでに亡くなったはずの存在だし」

「元々1人だったから達っていうのも変な話だけど」


全員花のガールズトークが始まったため、荷物を置きに行った。話がしばらく続きそうだったので洗面所に行って着替えることにした。着替えが終わって玄関に行ってみたらガールズトークは終わっていた。


「「「それじゃあ、私達は生活に必要なものを取りに行くから」」」


「行ってらっしゃい。あれ、君は出かけないの?」


「私は食料品を買いに行くから。いま手持ちがないからその分のお金ちょうだい。5人分買いに行くから数千円ほどいると思う」


僕は2,000円花に渡した。花はそれをポケットに入れた。


「ところで花達が生きていることって両親は知っているの?」


「知らないと思う。そもそも今手元にスマホが無いから連絡手段がないし」


「流石に両親には伝えようよ。両親も亡くなったと聞いて悲しみに暮れていると思うから、生きていることは早く伝えた方がいいって。信じてくれるかどうかは別問題だけど…」


「そうよね。このことは秘密にすると決めたけど両親には伝えたほうがいいよね。大事にしたくないということを伝えればそうしてくれるはずだし」


「何しろ5人でここで住むとなると僕のお金が足りないし。今の状況は伝えるべきだと思う」


「ってことは私が4人に増えていることも含めて?」


「うん。そうでないとお金が全然足りない理由を説明できないし、伝えなくて後々面倒なことになっても困るし。とても信じてくれるとは思わないけど…」


「私もなんで4人になったのか分からないからね。病院で目が覚めたら4人になっていたとしか言えないし」


「実際に花が4人いるところを見せれば本当の事だと信じてもらえると思うけど電話だとそれは出来ないしな」


「まあ、このことについては全員集まってからのほうがいいわね。それじゃ買い物に行ってくる。」


「行ってらっしゃい」


今の状況を花の両親に伝えることに決めたが、どうすれば今の状況を信じてくれるかについて考える龍生なのであった。

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