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メリークリスマス サンタさん♪

作者: こぐん

皆さん靴下の準備はいいですか? サンタがきて欲しかったらいますぐ暖炉をDIY^^

「やばい、遅刻した!!」


 そう言ってトナカイにムチを入れる白いひげに赤い服を着たおじいさん。


「痛いって、叩かなくてもちゃんと走るから、そんなに叩くのって労働基準法に違反してない?」

「仕方ないじゃろ? 子供達の夢を守るためじゃ、犠牲になってくれトナカイ」

「もともとサンタが昨日、前夜祭じゃーって飲み過ぎたのがいけないんでしょ?」

「そうやって人の挙げ足とるのトナカイちゃんのわるいとこ♪」


 サンタを乗せたソリは空を滑空していく。しばらく行くとサンタの服の内側から音が鳴り出した。


「願いレーダーに反応あり、かなり強い反応じゃ!! あのマンションのようじゃ。」


 ソリをマンションの3階に横付けし、ベランダに降り立つサンタ。窓は・・・ しまっておるの? よし、懐からガムテープやらガスバーナーをだし、ゴニョゴニョしてハンマーで一叩き!! 音もなく割れたガラスから手を伸ばし窓を開ける。暗くてよく見えないが女子高生くらいの部屋らしい。LEDのペンライトで当たりを見回す。長い靴下がおいてある靴下を準備してあるとは今時の子とは思えない可愛い女の子なのか? 手に取りプレゼントの希望とか入ってないか覗こうとした。


「クサッ!!」


 靴下は脱ぎ捨ててあっただけだった・・・

 机の上に日記らしいものがあったので、物色してみた。え~と、素敵な彼氏がほしい? そうか、そればっかりは夢と希望がつまった魔法の袋から取り出すことができないな、しかし、子供達の夢を叶えるのがサンタの仕事。


「・・・誰かいるの?」


 ベットで寝ていた女の子が起きたようだ。慌てず騒がず・・・


「ふぉっふぉっ、メリークリスマス、サンタクロースだよ。あなたの彼氏になりにきましたよ♪」


 女の子と目が合う、最近では見なくなった格好の女性がそこにはいた。ヤマンバと言うのだろうか? 化粧もそのまま眠っていたようだ・・・


 女の子「チェンジで・・・」

 サンタ「チェンジで・・・」


 静寂が終わりを告げる直前に窓を開け、ソリに飛び乗りその場を後にする。後ろから、女の子の家族だろうか? 大騒ぎしている声がしている。私には私を待っている子供達がいるんだ、長くいてあげられなくてごめんね。いい人見つかるといいネ!!


 トナカイ「何をプレゼントしたんですか?」

 サンタ「リアルサンタクロースに会えたって夢を・・・」



 またもや願いレーダーに反応あり、あの家だ。ポストに新聞が突っ込まれている。ドアを回してみると鍵がかかってない。私は、音をたてないように中にはいり、辺りをさぐる。シンとした家、乱雑に置かれた生活用品。


「おじさん、だれ?」


 急な声にびっくりする。背後を取られたなんて何年ぶりだろう? そこには小さい女の子がぼろぼろのぬいぐるみを抱え立っていた。私は女の子にどういう状況か聞いてみる。


「おかあさん、帰ってこないの・・・」


 私は、魔法の袋から水晶玉を取り出す。魔法の水晶玉~~~♪ サンタ7つの能力の一つ『占い』をしてみた。みえまーす、みえまーす。いろんなビジョンが映し出される。母親はこの子の為に、今も働いてるようだ。結果、この子は寂しい思いをしているが、なにが正しいのかなんて私にはわからない。私に出来ることは・・・ 袋から新しいぬいぐるみを取り出し、女の子に渡そうとした。欲しそうな顔はしたが・・・


「知らない人から、物をもらっちゃいけないって・・・」


 やばい、涙が出てきた・・・ ならば・・・


 サンタ「可愛らしいお嬢さん、私はサンタクロースと申します。これは夢、今宵は一夜限りの空のお散歩のお誘いに参りました。」


 そう言って、膝をつき、少女の手をとる。玄関前まで連れて行き、トナカイを見せる。少女の警戒はそこでとけた。私は水晶玉をトナカイに見せる。涙ぐむトナカイ・・・ 少女を乗せたソリはふわりと浮き上がった。


 サンタ「気合い入れろ―――」

 トナカイ「任せとき~!!」

 少女「すごーい」


 初めて笑った少女の顔はとても可愛かった。おっさんとオスはその横で泣いていた。あふれ出る涙を抑えることはできなかった。その日トナカイは一陣の風になった。




 願いレーダーに反応あり、あの土管? ソリを止めて少女と二人土管の中を覗くと、小さなダンボールがあった。そこには小さな子猫が震えている。私は、自分の上着を脱ぎ、ダンボールにかぶせた。貼るホッカイロが10個つけてある特別製だ。魔法の袋からチュールと猫用ミルクをだし、置いておいた。少女と顔を見合わせその場を後にする。飼えないの? と聞かれたが、うちフィンランドだから、猫はちょっと・・・ 後ろから小さな鳴き声が聞こえた。メリークリスマス♪ 君を飼いたいと両親を説得してる子供の姿が私には見えたよ。


 ソリを飛ばしていると、いつの間にか少女はおじさんに抱きつき寝ていた。サンタは少女を家まで送り、布団に寝かせる。枕元に新しいぬいぐるみとカップラーメン一箱置いて・・・ よい夢を・・・


 市役所のポストに少女の住所と現状を連ねた手紙を入れておいた。差出人はもちろんサンタクロースより、市から補助金が少し出て、少女の母親はお休みが増えるビジョンが見えたから大丈夫だろう。



 ソリは飛び上がる。子猫に上着あげちゃったから寒い・・・ 今日はっていうか、今年はもう帰ろう。後は他のサンタがうまいことやるだろう、そう思った矢先、願いレーダーがまた反応した。あそこの河原だ。ソリをつけると、小さなたき火に同年代のおじさん達がたむろしている。


 サンタ「私もたき火にあたらせてもらってもいいですか?」

 おっさん「いいぞ~ こっちこいや。」

 サンタ「なんか願い事とかありますか?」

 おっさん「好きに生きていきたいなぁ~」


 サンタはにこっと笑って白い袋から大量のお酒を出す。その場にいた3人のおっさん達と宴会が始まった。


 サンタ「本祭りじゃ~!!」

 おっさん「つまみになりそうなもん出せ、こうなるとお肉もほしいな、トナカイってうまいんけ?」

 サンタ「そういえば食べたことないな・・・」


 4人がトナカイの方を見る。トナカイは慌てて魔法の袋に首を突っ込み、ビーフジャーキーや、サラミなどおつまみセットを取り出した。トナカイはこの職場やめようと本気で思ったらしいが今でもなんとかやってるらしい。


 こんな感じで聖なる夜は過ぎていく。皆様に笑顔あふれる穏やかな夜が訪れますように♪ 

 メリークリスマス♪♪♪

 




皆様、素敵なクリスマスを過ごしてくださいね^^

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