24,欲望パーティー
大介がシャンメリーのキャップをロケットのように発射させて、天井に当たって落下したそれが絵乃に当たるちょっとしたハプニングが起きた後、皆それぞれに盛り上がっている。
その時、俺、渡辺真は幼なじみで一つ年下の浦佐洋子と二人で喋っていたのだが、少々上の空だった。
「ねぇ真、どうしたの? なんかぼーっとしてない?」
「ん? いや大丈夫。まぁほらさ、最近色々あるだろ? 村がなくなるとかなんとか」
「うん、私も育った村がなくなるのは悲しい」
村がダムになってしまうのは俺にとって非常に悔しい話。不真面目な俺でも日頃から真剣に頭を悩ませていた。洋子が言うように、俺も悲しい。
しかし、目の前にもう一つ課題が出来てしまった。
「あぁ、俺、病気かな」
「え、大丈夫? 熱でもあるの?」
言って洋子は右手の平を俺の額に当てた。
「う~ん、熱はないみたい」
「あぁ、熱っぽくはないんだけど」
別の意味で熱だなんて洋子には言えなかった。
六人で木製で濃い茶色の四角いテーブルを囲み、俺の右隣に洋子、左斜めには手前に小学四年生のアスタと、奥に小学校教諭でこの借家の住人であるショートヘアで美人だけど婚期を逃しそうな秋子さん(俺の在学中にも先生だったら良かったのに)、右斜めには手前に五年生で相変わらずの大介、奥にちょっと前までおかっぱだったのに少し髪を伸ばし始めたと見られる六年生の絵乃。
やばい、絵乃やばい。
ちょっと賢いおかっぱのマセガキだと思ってたのに何だこれ? 髪伸びただけで反則的に可愛い、ってか美人じゃねぇか…。いやでも絵乃は小学生だべ。俺は高校生だぞ? こりゃまずいべした。いやでもストライクだわ。
そこで脳裏にある言葉が浮かんだ。
ロ、リ、コ、ン!
あぁぁぁぁぁっ!!
やべぇ!! 大人なら四歳の差なんか問題ねぇけど高校生が六年生とはいえ小学生にそれはやばい!!
いや違う、俺は決してロリコンなんかじゃない! これはたまたまだ。そういう事だってあるんだ!
そうだ、冷静になれ俺。
あぁ、人生って何が起きるか分かんねぇなぁ。この俺が小学生に惚れるなんて、神でさえ予想し得なかっただろう。
それにしても大介の野郎、年が近いからって羨ましい。絵乃と楽しそうに何話してやがるんだ?
◇◇◇
大介と絵乃はこんな話をしていた。
「ねぇ大介、私に何か付いてる?」
「いいや、俺には玉が二つ付いてるけど絵乃には見当たらないなぁ」
「そう、ならいいわ。そういえば、牛の玉は焼肉にしても良いらしいのだけれど、人間のはどうなのかしらね?」
「おいおいまさか俺の玉で実験するつもりか?」
「あら、して欲しいの?」
「や、やめてくれ、それだけは、ひゃ、やめて下さい!」
その時の絵乃は、悪女の笑みを浮かべ、今にも大介に襲い掛かりそうだったという。
「あぁ、父ちゃん母ちゃんご先祖さま、どうかお許し下さい、湯沢家の血筋は僕で終わってしまうかもしれません…」
以上のように、真には聞こえていなくて良かったであろう会話だった。
◇◇◇
この村にクリスマスが訪れるのは、これが最後になるだろう。パーティーに集まった皆はそれを理解していただろうが、誰もそれを口にしなかった。




